2014 Fiscal Year Research-status Report
アジア系専門職移民の文化・社会活動と多文化主義─オーストラリアを事例として
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26590095
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石井 由香 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (20319487)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会学 / アジア系専門職移民 / 多文化主義 / オーストラリア / 文化・社会参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、オーストラリアのアジア系専門職移民のホスト社会への文化・社会参加に関し、特にアジア系移民作家による小説・自叙伝など表現を通じた文化・社会活動に関する分析枠組みを精緻化することである。分析においては、移民政策との関連、特に統合政策との関連に注目し、オーストラリアの経済主義的多文化主義下でのアジア系移民作家の作品、文化・社会活動が、今後の統合政策、多文化主義にもたらす示唆について考察しようとしている。主な分析対象は、アジア系移民作家の作品の文学賞、評論などにおける評価と文化・社会活動の内容、オーストラリアの英語教育におけるアジア系移民作家による作品の採用状況およびカリキュラムにおける移民作品の扱われ方、である。 上記の目的を達成するために、本年度はまず分析に必要な情報を入手することを中心的課題と考え、文献調査および現地調査を実施した。文献調査については、オーストラリアの文学賞や文学イベントの情報、アジア系移民作家の作品に対する書評、英語教育に関する政府資料、アジア系移民作家の文化・社会活動の情報について、インターネットによる検索、収集を行った。関連研究論文・著書やアジア系移民作家の著作についても、国内外の図書館、書店、データベースを通じて入手した。収集作業と並行して、これらの内容についての整理分析を実施した。現地調査については、2014年9月に約2週間、ブリスベン(クウィーンズランド州)とシドニー(ニュー・サウス・ウェールズ州)を訪問した。ブリスベンでは、Brisbane Writers Festivalに参加し、アジア系移民作家の活動状況に関する情報を得た。また、両州において、州政府教育関係機関でのインタビューを実施し、州立図書館、大学図書館において資料を収集した。分析に必要な資料を相当数入手することができ、帰国後整理分析作業を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初予定していた通りに情報収集を行うことができた。文献調査は順調に推移した。現地調査も、想定した形で実施ができ、インタビューでも実り多い情報が得られた。得られた資料、情報の分析および考察も特に問題なく進められている。また、2014年7月の学会発表を通じて、本研究の前提となる考察に関してコメントを得ることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き当初の研究計画通りに、文献収集および現地調査を実施したい。2015年度はシドニー(ニュー・サウス・ウェールズ州)、メルボルン(ヴィクトリア州)における調査を確実に実施し、分析結果、考察をまとめ、研究報告、論文へとつなげていきたい。
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Causes of Carryover |
当初の計画において、2014年度は海外調査1回、2015年度は海外調査2回を予定しており、より2年目に予算が必要な状況であった。その結果として次年度使用額が生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として2015年度の2回のオーストラリア調査に、次年度使用額と2015年度分の助成金を充当する見込みである。シドニー調査(1週間)、メルボルン調査(2週間)を予定している。
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