2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Great East Asia Co-prosperity Sphere Plan and Learning of Asian Languages by Japanese Citizens: A Case Study on Malay Language.
Project/Area Number |
26590099
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
小林 和夫 創価大学, 文学部, 教授 (00546129)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大東亜共栄圏 / 馬来語 / インドネシア語 / 外国語教育 / アジア・太平洋戦争 / 歴史社会学 / 戦争社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,馬来語(こんにちのインドネシア語・マレー語)を事例として,アジア・太平洋戦争期における大東亜共栄圏構想の鼓吹・浸透に国民のアジア語学習がはたした機能を分析することにある. これまでの先行研究では,管見の限りでは,大東亜共栄圏構想への自発的な「参加」と国民のアジア語学習とを明示的に関連づけて詳細に論じているものは,国内外とも存在しない.アジア・太平洋戦争の遂行や動員は「強制」や「抑圧」だけでなく,「デモクラティック」な文化的要素を帯びていた (福間 2012).であるならば,国民の外国語学習という文化的・教育的な要素をもつ営為が,大東亜共栄圏構想に親和的に作用したという文脈で研究が行われてもよいはずである. 本研究は,上述の問題意識を基礎として「戦時下における国民のアジア語の学習熱が大東亜共栄圏構想を国民のあいだに実体化・身体化する力をうみだし,大東亜共栄圏構想の鼓吹・浸透に親和的に作用した」という作業仮説を基底において研究を進めた. 本研究では,馬来語を中心として,①文部省の戦前・戦中期における外国語教育政策の展開,②戦時下における国民のアジア語学習の動機・手段・方法,③旧制外国語学校・専門学校・高等商業学校などの外国語教育機関におけるアジア語教育の方針・カリキュラム,④大東亜共栄圏構想に対するアジア各国語の位置づけ―の4つの課題を解明した. 本研究によって,①当時の国民がアジア語の学習を通じて大東亜共栄圏を構成するアジア諸国の社会や文化のありようを,「内地」から思い描く機会を得ていたこと,②戦時下における国民のアジア語の学習熱が,大東亜共栄圏構想を国民のあいだに実体化・身体化する力をうみだしていったことがうかがえた.
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