2015 Fiscal Year Annual Research Report
多言語社会に対応した言語サービスとサービス評価の在り方に関する萌芽的研究
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26590126
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
野山 広 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究・情報センター, 准教授 (40392542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 俊昭 京都光華女子大学, キャリア形成学部, 教授 (20204753)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 言語サービス / 言語生活支援 / コーディネータ / キーパースン / 半構造化インタビュー / Welfare Lingustics / 言語サービス評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国内の言語サービスの実態を調査するとともに、その結果を踏まえ、「言語サービス評価」の指標を開発することである。ここで用いる「言語サービス」とは、狭義(具体的・技術的な側面)では「外国人が理解できる言語を用いて、必要とされる情報を伝達すること」という意味である。広義(理念的な側面)では「外国人住民の母語によるアイデンティティを守り、その文化の発達を支援すると同時に、日本人住民との共生社会を作っていくための言語政策や施策の一つ」という意味となる。 最終年度は、言語サービスの実態を探り、「言語サービス評価」の指標を開発するために、言語サービスや言語生活支援に関する事業が比較的充実し、担当者やコーディネータが適切な役割を果たしていると捉えられる15地域に焦点を当てた。各地域を訪問して、言語サービスや言語生活を支えるキーパースンや外国人住民に対して本研究に関連した半構造化インタビューを行った。 分析結果を踏まえて見えてきたことは、集住地域や大都市地域では、外国人の理解できる言語で情報を提供するという側面を意識した言語サービスが提供されている場合が多いが、その他の地域(散在地域、大都市周辺地域など)では、そうしたサービスを提供する意識が希薄であるということであった。また、ほぼ全地域で共通した、外国人住民の要望は、医療通訳や母語(第一言語)に関する言語支援の充実等であった。 換言すれば、多くの外国人は、日本の公的機関(自治体等)に対して「地域住民として本来的に所有する言語権に基づいた言語サービス」の提供を期待していることが窺えた。またこうした期待を踏まえると、「言語サービス評価」を通して「多文化共生社会やグローバルコミュニティー(グローカルな地域社会)に出来るだけ円滑に参加できるよう促進するサービス」が事業の中にどのくらい含まれているかを検証出来る指標作りが期待されよう。
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Research Products
(9 results)