2016 Fiscal Year Annual Research Report
Appreciator mining:Social psychological challenge to utilize art museums
Project/Area Number |
26590137
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
林 直保子 関西大学, 社会学部, 教授 (00302654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 香 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁波応用総合研究室, 上席研究員 (20358956)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 誇示的消費 / デジタル鑑賞 / 社会的鑑賞 / 地域文化資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第1の目的は、文化財資料の社会的鑑賞経験が、文化財資料の鑑賞への態度や美術施設活用行動に及ぼす影響を検討することにあった。この目的のため、本研究では、複数の文化財資料の超高精細デジタル化を行い、それらのデジタル資料を用いて、実験・調査を行った。 学生を参加者として行った第1実験では、デジタル化された絵画の鑑賞が美術作品鑑賞へのポジティブな態度を促進することが確認されたが、当初の予測とは異なり、友人知人とともに鑑賞する社会的鑑賞経験が、デジタル化されていない文化財資料一般への興味を促進するという結果は得られなかった。そのため、アプリシエータ・マイニングへのアプローチを当初予定から修正し、「誇示的消費」としての美術鑑賞に焦点を当てたウェブ調査を行った。この調査では、過去数年の間に著名な画家の作品を鑑賞した経験をもつ者800名を対象としてデータ収集を行った。分析の結果、美術展鑑賞について、鑑賞者による誇示的側面を有することが示唆された。 また、上記調査とは別に、地域的アイデンティティの観点からの美術鑑賞者発掘アプローチとして、地域にかかわる美術作品の鑑賞経験が、地域への愛着と地域文化への興味に及ぼす影響を検討した。具体的には、大坂画壇を取り上げ、大坂画壇の作品鑑賞が、大阪と大阪文化へのポジティブな態度を促進するかどうかを、大阪出身者と大阪以外の出身者を対象として検討した。この研究では、自発的に美術施設を活用しない層を対象とするため、デジタル化された美術作品を用いて、美術施設以外の場所で対象者を募り、調査を行った。調査の結果、大阪画壇の鑑賞前と鑑賞後では、大阪への愛着、大阪文化への興味のいずれ増加しており、地域資源のデジタル鑑賞が地域愛と地域文化への興味にポジティブな影響を与えることが示された。
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Research Products
(1 results)