2016 Fiscal Year Annual Research Report
What promotes the development of social cognition in young children with ASD: Relation between the developmental environment and the developmental features
Project/Area Number |
26590147
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
實藤 和佳子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60551752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 知加 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (30581558)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症 / 乳幼児 / 早期介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自閉症児の「発達特性(個人差)」×「発達環境の種類」の相互作用の観点から、自閉症児の社会的認知はどのような条件下で発達が促進されやすいかについて解明をめざすものである。自閉症が疑われる乳幼児を対象として、各対象児の発達的な特徴及びその変化について詳細に調べ、発達環境(療育、療育以外の集団経験、療育や集団経験はなし)と比較しながら発達促進の要因や条件を見出すことを目的としていた。 本年度は、データ収集を継続し、得られたデータを解析した。 データ収集開始時点では療育を経験した参加児はおらず、集団経験をもたない参加児より集団経験のある参加児のほうが模倣等を多く示したことを昨年度までに明らかにしていた。今年度は、集団経験をもたない参加児に対して、保護者の希望をもとに療育を実施するグループを作成し、半年にわたり月2回の療育を実施した。全対象児に対して半年後に社会的認知発達の調査を実施したところ、療育を受けたグループは模倣を急激に示すようになった。一方、療育以外の集団経験をもち続けたグループでは半年間の間にそれほど大きな発達はみられにくかったため、半年後には療育を受けた参加児と集団経験のある参加児とは差異が認められなくなった。この結果は、観察開始時において集団経験のあるグループのほうが模倣等の得点が高かったことが影響した可能性について更に検討する必要がある。 本研究より、早期療育の効果を明らかにすると同時に、1歳半前までの集団経験が与える発達促進効果の可能性を示唆した。今後は、1歳半以降の集団経験がもたらす効果について更に検討を深める必要がある。
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