2015 Fiscal Year Annual Research Report
早産児のDNA多型・メチル化とアタッチメント形成・予後との関連性
Project/Area Number |
26590152
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Research Institution | Tsurumi Junior College |
Principal Investigator |
斎藤 晃 鶴見大学短期大学部, 保育科, 准教授 (10225691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アタッチメント / DNA多型・メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 アタッチメント評定 協力者45名が1歳の時点でストレンジ状況法を行った結果,安全群,両面価値群,回避群はそれぞれ67.5,18.6,4.6%で,分類不可が9.3%であった。次に非構成的・非志向的群(D/D)の評定を9段階尺度にて行った結果,非D/D群(4以下),D/D群(5以上)はそれぞれ72.1,27.9%であった。D/Dの最高評定値は6であり,欧米に見られる強いD/D値は皆無であった。 2 DNA解析 協力者が7~15歳時点でORAGENEにて唾液を採取後,DNAを抽出した。 1)DNA多型 サンガーシーケンス法にて多型を同定した。DRD4第3エクソン48bpの多型は反復7回が1例のみであった。5-HTTLPRの多型はS/S型が約60%を占め,Nakamuraら(2000)に一致した。2)DNAメチル化 NGS解析法にてDRD4とSLC6A4のメチル化率を測定した。 3 結果 DRD4の反復7回/非7回,及び5-HTTLPRのSS型/非SS型の変数を使用して,早産・満期産,D群・非D群,低D/D群(D/D値1~2)・高D/D群(D/D値5~6)に関してFisherの正確確率検定を行った結果,いずれも有意差はなかった。新生児行動評価,母親敏感性,DRD4多型・5-HTTLPR多型,DRD4・SLC6A4メチル化率を独立変数,D/D値を従属変数として重回帰分析を行った結果,有意な関連性はなかった。DRD4とSLC6A4の各CpGサイト別に非D/D群・D/D群間のメチル化率に関してマンホィットニーU検定を行った結果,有意差は見出されなかったが,低D/D群・高D/D群間に関しては有意差のあるCpGサイトが複数見い出された。全CpGサイトを俯瞰すると,DRD4には一貫した傾向はなかった。しかし,低D/D群と比較して高D/D群は,SLC6A4の転写開始点の下流に行く程CpGサイトのメチル化率が一貫して高まる傾向を示した。 DNA解析結果は生物学的指標として理解されるものであり,環境要因の重要性を減じるものではない。D/D傾向とメチル化が相互に影響を与えた可能性があり,今後は前向き研究が必要である。
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Research Products
(1 results)