2015 Fiscal Year Research-status Report
遺伝カウンセリングにおける心理社会的支援プログラムの構築
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26590158
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
望木 郁代 三重大学, 医学部, 講師 (20369614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (80237304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 心理社会的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝カウンセリングにおける患者様およびご家族の心理状態を検討し、理解することによって、より質の高い遺伝カウンセリングを提供できるようにすることが本研究の目的である。これまでの調査結果より、患者様・ご家族とも、遺伝カウンセリングの前には非常に不安が高い状態であることが明らかとなり、カウンセリング担当者は、まずは相談者の不安軽減に努めなければならないことが分かった。遺伝カウンセリングの相談者は、すでに発症されている、未発症、治療法がある疾患、難治性疾患、次世代がいらっしゃる、いらっしゃらない、など背景がそれぞれ異なるため、各症例ごとに検討することが重要である。たとえば、同じ遺伝性疾患であっても、きょうだい間での心理状態は異なっていた。また、患者様とご家族では不安の強さや心理面において異なった状態を示していることがあり、ご家族の方が不安が強い症例もあった。また、遺伝学的検査を実施した結果、原因遺伝子に病的変異が見つかる場合と、そうでない場合があるが、見つからなかったといって不安が低減するとは限らず、見つかっても不安が低減することがあるというような興味深い結果が得られた。継時的な追跡調査からは、相談者の心理状態は時間の経過とともに変化することがみとめられ、遺伝カウンセリング後の長期にわたる心理的サポート体制の構築が喫緊の課題であることを示している。これまでの結果をまとめると、遺伝カウンセリングの前後やその後の経過とともに、相談者には様々な心理的変化が現れ、患者様とご家族の心理的変化は調査時期によって差が生じる場合がある。したがって、カウンセリング担当者は、相談者それぞれの心理面に配慮しながらの対応をしなければならないと考える。28年度は、疾患別、患者の属性別などの分析が研究課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝カウンセリングの効果を検討するためには、調査協力者のカウンセリング前後の参加が非常に重要になる。しかし、カウンセリング後はなかなかご協力いただけず、症例数が大変少なくなってしまっている。したがって、当初の調査予定期間を延長し、症例数を増やすことに努める。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは調査の症例数を増やし、信頼性のある結果をだすことができるところまで調査を継続する。 今回の調査の目的の一つは、遺伝カウンセリングにおいて患者が望むこと、を明らかにすることである。28年度は遺伝カウンセラーが、患者の望んでいることを理解し、日頃の業務の中で遂行できているか、遺伝カウンセラーを対象にした調査を加える予定である。
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Causes of Carryover |
海外の学会への旅費を計上していたが、体調不良のため国内の学会参加のみにしたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでと同様の方法で調査を継続する。 遺伝カウンセラーを対象に、相談者が望んでいる遺伝カウンセリング業務を果たせているかについての調査を研究計画に加え、調査を実施する。
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