2016 Fiscal Year Research-status Report
遺伝カウンセリングにおける心理社会的支援プログラムの構築
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26590158
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
望木 郁代 三重大学, 医学部, 講師 (20369614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (80237304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 心理社会的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝カウンセリング前の調査によって、患者がカウンセリング担当者に望む態度や能力が明らかとなり、遺伝カウンセリングの担当者へ向けて、患者にとって有益なカウンセリングを実施するための情報発信が可能となった。またカウンセリング前に患者のエンパワーメントがどのような状態にあるのかを確かめることができたので、患者が必要としているきめ細かい心理的支援の具体的内容を理解することができた。また、患者が必要と感じているサポート体制についての自由記述は、社会において今後どのような支援体制が重要であるかを示しており、社会的支援の構築に重要な手掛かりとなるだろう。カウンセリング後の調査からは、カウンセリング担当者のコミュニケーションと患者の遺伝カウンセリングへの満足度が関係していることが分かり、カウンセリングの担当者に対して、患者から求められているスキルを提示することで、カウンセリング担当者への啓蒙へつながると考える。継時的調査からは、遺伝性疾患に関わる当事者の心理的変化が読み取れ、長期の継続した心理的支援が必須であることが示唆された。今後は、日本の遺伝カウンセラーの実態調査と、彼らがどのような目標をもってカウンセリングに臨んでいるのか、また患者の要求にどれだけ応えられているかについて調査し、今後の日本の遺伝カウンセリングの発展に寄与できるような情報を医療者に提供するとともに、患者とって有益な心理社会的支援のあり方を提言する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年までと同様に、遺伝カウンセリング後の調査結果の回収がなかなか進んでいない。カウンセリングの前後で比較検討することが重要課題であるため、今後も症例数をふやすことに努めていく。 昨年度予定していた遺伝カウンセラーへの調査は、調査項目の精査に手間取りまだ実施できていないため、今年度実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、症例数を増やすことで、患者の属性別(疾患、年齢、性、家族構成等)の心理をより詳細に分析し、患者の心理的支援につながるようなプログラムを構築する。患者が抱える不安や心配を抽出し、必要としているサポート体制をまとめ、社会的支援につなげる。患者への調査より、患者が遺伝カウンセリング担当者に望む態度について知ることができ、遺伝カウンセラーがその態度等をどの程度果たしているのかを検討することで、臨床遺伝専門医や遺伝カウンセラーなど、遺伝に関わる医療者が果たす役割についての啓蒙活動につなげていく。
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Causes of Carryover |
遺伝カウンセラーへの調査について、調査項目の内容の精査のため昨年度は実施できず、通信費用等が消化されていない。またデータ数が足りないため引き続き今年度も調査を実施するが、唾液分析用のキット購入用に費用が残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、遺伝カウンセラー向け調査での通信費と、唾液分析キットを購入費で使用する。
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