2015 Fiscal Year Research-status Report
成人期の自閉症スペクトラムにおける視覚的認知の特異性に関する神経心理学的検討
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26590163
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
松永 しのぶ 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50300033)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 絵画完成課題 / 埋没図形課題 / 心理アセスメント / 弱い中枢性統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)の「部分」と「全体」の関係性認知の特異性を解明するために、成人期のASDを対象に「埋没図形課題」(embedded figures test:EFT)、「絵画完成」課題(picture completion test :PCT)遂行中の視線運動パターンを注視点追跡システム(アイトラッカー)により測定し、定型発達者との相違を検討することである。 2015年度は、使用する実験課題の図版を選定し、注視点追跡システムで利用できるように調整、改訂を行った。PCTについては2014年度に作成した臨床研究用PCTから15図版、EFTについてはWitkin, Oltman, Raskin, & Karp (1971)のオリジナル図版から10図版を選定した。大学生20名に臨床研究用PCT、EFTを実施し、課題遂行中の視線計測を行った。各課題の成績とAutism-Spectrum Quotient(AQ)、Adult ADHD self report scale(ASRS)における個人差との関連を検討した。ADHD傾向はEFT成績に正、PCT成績に負の影響を与えていた。ASD傾向がPCT成績に及ぼす影響は、2014年度に本研究において抽出したPCT課題のサブタイプによって異なっていた。PCT遂行は、課題のタイプによって認知処理が異なること、また注意機能の影響を検討する必要性が示唆された。主な結果については、昭和女子大学生活心理研究所紀要の論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
注視点追跡システムの実験用にPCT課題、EFT課題を選定、調整し、実験手続きを確定することができたが、各課題の視線運動パターンを解析するためには、定型発達の成人のデータ数を増やし解析方法を吟味する必要があると判断し、今年度は臨床群での実験が未実施となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
定型発達成人での実験を継続しデータ数を増やし、各課題の視線運動パターンの解析を行う。その後、成人の発達障害を対象に実験を行い、臨床研究用PCT、EFTの成績、視線運動パターンについて定型発達との相違を検討する。
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Causes of Carryover |
一般大学生と臨床群(自閉スペクトラム症)に実験を実施する予定であったが、本年度は臨床群の実験を実施することができなかったため、臨床群での実験の際に予定していた実験補助者への人件費が未使用となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験参加者、実験補助者への人件費・謝金および7月、8月に開催予定の国際心理学会、ヨーロッパ視覚認知学会において研究成果を発表するための参加費、旅費として使用を計画している。その他、研究遂行に必要な物品費、研究成果発表に必要な翻訳・校閲料、印刷費等に使用予定である。
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Research Products
(1 results)