2014 Fiscal Year Research-status Report
日本版メンタルヘルス・ファシリテーター(MHF)プログラムによる被災者支援の効果
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26590169
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
長江 信和 福岡大学, 人文学部, 准教授 (80449959)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 地域援助 / 被災者支援 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災の被災地では,メンタルヘルスの鋏状格差が問題となっている。震災後の時間経過とともに,生活再建を成し遂げる住民と,生活機能を損ない,心身の不調を抱える住民との二極化が広がりつつある。精神保健福祉のニーズは,大変大きいものであるが,被災地における専門家のリソースは慢性的に不足している。本研究では,一般の地域住民に対して,メンタルヘルス・ファシリテーター(MHF)講座を実施し,その効果と課題を検証することを目的としている。被災三県における比較的健康な住民をMHFとして育成し,被災地住民の自発的な相互扶助とメンタルヘルスの改善を促すことがねらいである。 研究初年度の平成26年度は,倫理的な手続きの確認と,MHFプログラムの開発,そして,研究実施地域の調整を行った。まず,本研究では,手続きの科学的・倫理的妥当性を保証し,参加者の人権保護に努めるため,福岡大学大学院人文科学研究科教育・臨床心理専攻人文学部教育・臨床心理学科研究倫理審査委員会に,研究計画の審査を依頼した。その結果,研究の遂行については,条件付きの承認を得た。また,MHFプログラムの翻訳と,ビデオ教材の作成を行った。これは,NBCC International(全米認定カウンセラー協会国際委員会)が作成したMHFプログラムの原版が改訂されたためであり,オンライン学習のパートを新設したためである。今後の効果研究では,更新されたMHFプログラムを実施する。さらに,被災地におけるMHF講座の実施場所について,選定を行った。被災地域の復興状況は,地域差があり,時間の経過とともに変化するため,現地の住民や復興支援関係者のご意見も伺いながら,望ましい実施環境の調整を図っている。 研究初年度の準備を踏まえた上で,平成27年度以降は,MHF講座の実施と効果研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費が申請額から減額されたため,研究計画の効率化を図った。初年度は予算の消費を抑えつつ,主に研究計画の基礎的部分に着手し,次年度以降に備えている。
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Strategy for Future Research Activity |
被災地は,冬から春にかけて雪に閉ざされ,人の往来も制限される。また,年度初めは,研究遂行のための大学内の環境が整わない。そのため,被災地で研究計画を実施できる時期は,初夏から秋までの半年間に限られる。年間のエフォートを適宜振り分けることで,研究計画の推進に尽力する。
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Causes of Carryover |
研究計画当初の予算よりも,交付決定額が約3割減額されたため,初年度は,予算のかからない研究計画に注力した。残りの予算は,支出額の多い次年度に繰り越している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金は,被災地への国内旅費や研究協力者の人件費・謝金に充てる予定である。
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