2014 Fiscal Year Research-status Report
対属性仮説に基づく結合問題の解決と多次元情報統合過程のモデル化
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26590173
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 昌彦 筑波大学, システム情報系, 教授 (00222349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 ひろみ 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00359580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 視覚特徴統合 / 対属性モデル / 刺激反応学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間はさまざまな情報から総合的に認知や判断を行うが,その過程をよく反映する一般的な数理モデルは知られていない.その根本には,「脳において異種情報がどのように統合され,それがどう処理されて認識や行動に至るのか」という結合問題が未解決であり,生物学的・心理学的に妥当な理論すらないという状況がある.本研究では,我々が提唱した「視覚的物体の認識や記憶は,色・形・動きなどの属性を二つずつ統合した複数の表現に基づいて行われる」という対属性仮説の妥当性を実験的に実証すると共に,その一般化を図る.これらを通じて結合問題の理論的困難さを解決すると共に,人間の情報統合過程を反映した多次元情報統合の数理モデルを構築することを目的にしている. 平成26年度は,主に視覚特徴統合における対属性仮説の検証を行った.3つの属性からなる8種類の刺激と4つの反応キーとを連合する課題について,学習曲線及び反応時間を調べたところ,反応が3属性の組合せで決まる場合の方が,2属性のみで決まる場合に比べて学習及び反応がより難しいこと,属性を空間的に分離して提示すると一つの物体として提示したときよりも学習が難しいことが明らかになった.この結果は,全属性を統合した物体表現ではなく,注意によって2属性ずつが結合した表現が反応と連合されるという対属性モデルを支持する.このことは,3属性以上が直接結合した表現は,長期的な学習なしには作られないことを強く示唆しており,これまで以上に強い対属性仮説の根拠となるものである. そのほか,対属性仮説に基づいた価値判断の数理モデルの実験的な検証や,それを強化学習に応用した研究を行い,それぞれ十分な成果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
視覚特徴統合に関する対属性仮説を支持する,より直接的かつ重要な証拠を得ることができ,その成果を高インパクトファクター(5.078)の学術誌に発表した.また,その証拠を補強する実験を行い,期待通りの結果が出ている.応用研究に関しても,学術論文1編および学会発表2件(うち1件は査読付き国際会議)という十分な成果を挙げた.
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従って今後も着実に研究を進めていく予定であるが,当初計画以上に進展しているので,新たな発展的・応用的研究の可能性も探っていきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
全額使用予定であったが,国際会議参加費を別の予算で支出することになったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,次年度の物品費の一部として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)