2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児虐待の連鎖-サルを対象とした不適切養育行動の世代間伝達の研究
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26590176
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
三輪 美樹 京都大学, 霊長類研究所, 特定研究員 (50645348)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | コモンマーモセット / 不適切養育 / 「尾食い」 / 世代間伝達 / 嗜癖 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
不適切養育行動の世代間伝達の機序解明を目標にコモンマーモセットで見られる新生児の尾の欠損「尾食い」について検討を続けた。
昨年度までの研究で「尾食い」行為防止効果が認められたブルンス液についてその効果検証を続行した。加えて、初回「尾食い」発現時期把握、背負い行動や新生児回収時間と「尾食い」との関係検討等も実施した。検証は今年度出産した通常家系出自と不適切養育家系出自の個体からなるペア2組で実施した。いずれのペアでも初回の尾食いは出生直後から翌朝までの間に行われていた。死産児と健常児が混在して出生したペアでは、同腹の健常児の「尾食い」は軽微なものであったのに対して死産児では尾全長の半分程度が欠損していた。周産期観察からこの欠損は不適切養育家系出自のオスが「尾ぐい」した結果であることを確認した。いずれのペアでも出生当日から毎日尾先創面にブルンス液を少量塗布したところ、出生後3日目までには更なる欠損や創傷、咬み跡が認められなくなった。背負い行動や新生児回収時間と「尾食い」発現の間には相関がなかったことからも、新生児の状態あるいは創面の何らかの情報が行為を誘発する可能性が改めて示唆された。
また、家族飼育の同腹仔観察で認められたコモンマーモセット同腹仔間のTwin-Fightという現象について検討し、学会発表を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度初めに実施されたコモンマーモセット飼育施設の大規模な設備拡充・整備工事によって多数の個体が体調不良に陥り、対象個体においても、流産死産、繁殖個体の死亡、予後不良からの安楽殺等が相次ぎ研究を中断せざるを得なくなったため。
回復に至るまで数ヶ月を要したが、現在は妊娠を控えた個体が複数存在し新たな繁殖ペアも順次増やしているため、次年度は今年度より研究を推進する機会が増えるものと期待される。
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| Strategy for Future Research Activity |
引き続き複数家系で周産期の行動観察を実施し「尾食い」の時期や状況、ブルンス液の効果、背負い等の子育て行動と「尾食い」の関係、同腹仔優劣と「尾食い」の関係等についてのデータを蓄積する。特に次年度は昨年度の観察実験対象個体であったメスが出産に至る可能性がある。世代間伝達の検証が行えるものと期待される。
平行して、今年度実施できなかった嗜癖に関する実験を実施する。具体的には、他の動物種における関連報告を参考に新生児の尾を模したものに対する行動解析と血液等に対する条件付け位置嗜好性試験を実施する予定である。
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| Causes of Carryover |
年度初めに実施されたコモンマーモセットの飼育施設拡充や整備のための大規模工事により多数の個体が体調不良に陥り、実験個体でも流産死産や死亡、予後不良からの安楽殺等が相次いで研究中断を余儀なくされたため。また復調させるまでに時間を要したため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
行動観察のための装置や嗜好性試験に必要な実験ケージとその備品、被験物質、薬品、記録メディア等の購入、成果発表費用等に使用する。
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| Remarks |
京都大学霊長類研究所 神経科学研究部門 高次脳機能分野ホームページ
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/sections/cognitive_neuroscience/index.html
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Research Products
(1 results)
