2016 Fiscal Year Annual Research Report
An experimental study of the cognitive and non-cognitive characteristics of a Japanese aged superior memorist
Project/Area Number |
26590181
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高橋 雅延 聖心女子大学, 文学部, 教授 (10206849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 寛之 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30202112)
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70253242)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超記憶力 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終年度にあたる平成28年度は、高齢でありながら、長期間の練習によって有意味符号化(日本語特有の語呂合わせ)という記憶方略に習熟し、数の記憶に関して卓越した記憶成績を示す原口證氏を対象に、その記憶能力の解明を目指すべく、WAIS知能検査、リバーミード行動記憶検査、ワーキングメモリ課題、展望記憶課題、といった認知機能の測定に加え、5因子性格検査、GHQ28検査、ロールシャッハテストなどの非認知機能の測定を行った。 認知機能の特性に関しては、いずれも、きわめて高いレベルにあった。詳細な検討の結果、これらの能力を支えているのは、言語的な能力の高さに加え、さまざまな方略の駆使であることがうかがわれた。一方、非認知機能の測定結果から、性格のポジティブ傾向の高さが浮き彫りになると同時に、貪欲なまでの知識欲、さらにはまた、感情面で動揺することなく、マイペースで物事に取り組むことができることが明らかとなった。 これらのことを総合するならば、高齢でありながら卓越した記憶成績を生み出すメカニズムとしては、単なる認知機能だけではなく、非認知機能との連関にもあることが結論づけられよう。 したがって、従来の認知機能の側面だけを重視していた熟達化理論の限界が明確となり、認知機能と非認知機能の両面を取り入れた理論の必要性が明らかとなった。また、加齢に伴う記憶能力の低下を防ぐためには、認知機能、非認知機能の両側面への配慮こそが必要であると提言できよう。具体的には、誰にでも適用可能な記憶訓練法を考えていくのではなく、何よりも個人個人の興味関心にあわせた訓練法を構築することが重要であると言えよう。
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