2014 Fiscal Year Research-status Report
高校教育改革における〈多元的生成モデル〉の構築に関する臨床的研究
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26590200
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊地 栄治 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10211872)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多元的生成モデル / 一元的操作モデル / 相互的主体変容 / 持続可能な教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、高校教育改革研究のブレイクスルーを構築することを目指して、とくに〈多元的生成モデル〉という概念装置を設定し、政策と実践を再評価することを試みるものである。本年度取り組むべき主な事項は、(1)〈多元的生成モデル〉の理論的な整理を試みること、(2)全国の公立・私立高等学校を対象とした高校組織調査および公立学校の教員を対象とした高校教員調査(いずれも質問紙調査)をデザインし実施すること、の2点であった。それぞれ以下のような進捗状況である。 (1)従来の高校教育改革実践の多くは、〈一元的操作モデル〉に立脚しており、さまざまな限界を抱えていた。たとえば、内発的な学校革新を持続可能な形でもたらすことを妨げるという意味できわめて不合理なモデルであることが見えてきた。これに対して、〈多元的生成モデル〉は、相互的主体変容を促すという意味において、内発的な学校革新の共通する特徴であると推察できる。貧困研究など隣接する研究分野にも共通するモデルであることも確認できた。 (2)2004年3月に実施した全国調査と同じ手続きで調査を実施することに留意し、質問紙には時代変化も踏まえながら必要な改訂を加えた。高校組織調査については、全国の公立・私立高等学校の5分の1にあたる779校に調査票を発送した(2015年2月末)。また、高校教員調査については、全国の公立高等学校の20分の1にあたる169校に発送した(同時期)。後者については、各校の全常勤教員に協力をお願いした。関係者の方々にご協力いただき、前回調査と比較可能な手続きで実施することができた。 翌年度以降は、得られたデータについて丁寧な量的・質的な分析を行い、〈多元的生成モデル〉に基づく教育改革の意義を確認するとともに、それがどのようにして実施可能になるかという点について検討を加える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、予算をふまえて、調査実施対象規模を縮小する予定であったが、歴史的比較検討を可能にするために前回の調査と同等の実施規模を確保することにした。研究代表者にとってはかなりの負担であったが、調査の重要性をふまえてあえて柔軟に変更を加えた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の全国調査にかなりウェイトを置いたため、事例研究の方がいくらか積み残さざるを得ない状況になった。次年度以降は、データの分析をにらみながら事例研究を充実させていきたい。
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