2015 Fiscal Year Research-status Report
脆弱国におけるコミュニティ参加型学校運営と社会的結束性についての理論とモデル構築
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26590219
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小松 太郎 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (20363343)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 民族融和 / 社会的結束 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年次の本年では、初年度の成果を踏まえつつ、教育と社会的結束の関係をより幅広く捉え、民族混合学校に通う少数派生徒の意識調査を行った。具体的には、セルビア勢力によるムスリム系住民に対する民族虐殺(ジェノサイド)が起きたスレブレニツア地域の中等学校2校を対象に、約30名の生徒にフォーカス・グループインタビューを実施した。これらの生徒はムスリム系であり、セルビア系学校で学んでいる。彼らが自らの学習体験をどう捉えているか理解することで、民族紛争後社会の学校が社会的結束の促進にいかなる役割を果たしうるか示唆を得ようとした。音声データは文字起こし・翻訳・第3者による確認を経ている。精緻な分析結果は翌年度に行うが、一般的な傾向として、セルビア系正規カリキュラムによる学びよりも、セルビア系生徒との学びの共有を評価している姿勢が伺えた。背景として、本地域の地域住民・保護者が、民族系科目が初等教育段階で一通り終わっていることもあり、中等学校では対立した民族と交流を促すのであればそれを認めていく、という姿も想定できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の成果を踏まえて修正した計画を遂行出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、民族混合学校を対象にした質問票調査を実施し、地域住民・保護者と学校、民族混合教育の関係性について更に探求していく。調査対象校は、別の研究で収集した民族混合性に関するデータを基に、恣意的サンプリングと無作為サンプリング手法を併用し選別する。調査協力者は学校長とし、民族混合学校におけるカリキュラム、生徒の交流、住民参加の度合い・性質についてデータを収集する。データ分析にあたっては、サラエボ大学で異文化間教育を専門としているカスマギッチ博士に協力を仰ぐ。最終的に3年間で収集したデータを基に、教育と社会的結束に関する理論構築を目指す。
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Causes of Carryover |
現地調査をケーススタディとして小規模に行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度には、地域を拡大して質問票調査および面接調査を行う予定であり、そのための支出に充てる。
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