2014 Fiscal Year Research-status Report
定時制高校における不登校経験者への総合的指導体制の開発
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26590238
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小野 昌彦 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40280143)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 定時制高校 / 不登校経験者 / 高校生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、在籍者の約80%が中学校等において不登校経験をもつ生徒であるA定時制高校における総合的支援体制を構築することである。2014年度の研究目的は、高校1年生の学力状況把握、現行カリキュラム、個別支援計画の効果検討であった。学力状況把握と現行カリキュラムの効果に関しては、調査研究を実施した。個別支援計画の効果の検討は事例研究を実施した。1.学力把握と現行カリキュラム評価の調査研究:(1)第1回調査①対象:高校1年生133人 ②実施テスト:TK式学習進度テスト中学1年生用数学 ③実施時期:2014年4月18日、25日④実施結果:高校1年生の内、算数小学4年生後半の学力の者58人(約44%)、小学5年生の学力の者17人(約13%)、小学6年生の学力の者15人(約10%)中学1年生以上の学力の者43人(約32%)であった。(2)第2回調査①対象:高校1年生66人(参加率約48%)②実施テスト:TK式学習進度テスト中学1年生用数学 ③実施時期:2015年3月25日④実施結果:小学4年生後半の学力の者21人(32%)、小学5年生後半の学力の者8人(12%)、小学6年生後半の学力の者12人(18%)、中学1年生の学力の者25人(38%)であった。(3)比較結果:第1回調査と第2回調査で両調査とも参加した対象の内、成績が向上した者20人、変わらなかった者43人、成績が下がった者3人であった。2.個別支援事例研究:①対象:高校1年生で算数が小4後半段階であった者4人 ②支援期間:2014年7月11日~23日 ③学習支援者:大学院生 ④指導時間:対象3人3時間、1人4時間 ⑤指導内容:数学(分数指導)⑥結果:4人全員がTK式学習進度テスト小学5年生後半段階となった。本研究は、日本で初めて定時制高校に在籍する不登校経験者の学力状況を明らかにした点に意義があるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2014年度の当初の研究目的は、高校1年生全員の個別支援計画を作成し支援を実施することであった。しかしながら、所定のアセスメントテストは実施することができたが、138人分の個別支援計画の作成は困難であった。これは、研究代表者の所属機関が対象校から離れており、詳細な事例分析を実施するための時間を確保できなかったためである。このような状況から、2014年度は4人の個別支援の実施と学力調査による高校1年生の学力状況把握と1年次のカリキュラムの効果評価を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属機関が、対象校の近くとなった。この変更により2015年度の課題であった個別支援計画作成の時間が充分確保できる可能性が高くなった。また、個別支援計画に基づいた指導に関しても対象校近隣の大学院生ではなく、研究代表者の所属機関院生等が実施できる可能性が高くなった。以上の点について、対象校の校長と打ち合わせを実施し研究計画の変更を検討する。
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Causes of Carryover |
学習指導員の為の大学院生確保が困難であったことによる謝金支出額の減少の為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
代表研究者の所属機関の所在地が2015年4月から対象校の近くとなった為、研究代表者所属機関の院生、助手を指導員、指導協力者等に確保することが容易になった。したがって、2015年度は計画的な予算執行が可能である。
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Research Products
(6 results)