2014 Fiscal Year Research-status Report
複合的生体情報を用いた算数・数学教育における理解過程の解明
Project/Area Number |
26590241
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
黒田 恭史 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70309079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前迫 孝憲 大阪大学, その他の研究科, 教授 (00114893)
江田 英雄 光産業創成大学院大学, その他の研究科, 教授 (00395237)
岡本 尚子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (30706586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教育学 / 神経科学 / 教育工学 / 科学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、複数の生体情報装置を装着した状況下において、算数・数学問題解決時の生体情報計測を行い、学習者の理解過程を生理学的に解明することである。本年度は、その開始段階として、脳活動、視線移動、心拍、呼吸の4種類の生体情報を同時に計測可能な実験環境の構築し、計測データ間の干渉(不具合)の検証についての予備実験を実施した。 脳活動と眼球運動(視線移動)の同時計測は、装着部位が接近しており、双方とも近赤外線を用いた計測方法のため、干渉の可能性が懸念されたが、実験の結果、計測データにおける大きな不具合は確認されなかった。 一方、心拍と呼吸の同時計測はデータ上は、問題なく計測可能であったが、複数の装置を装着することによる被験者の物理的・心的疲労の問題が確認された。すなわち、装置装着のために、問題解決への集中が阻害されるという問題である。 現在、これらの問題を解決すべく、実験課題内容に応じて、装置装着を精選するという方法を検討している。課題内容の難度や分野間の違いに応じて、類似的な傾向を示す計測データと、異なる傾向を示す計測データとを分類整理し、類似的な傾向を示すものについては、一つの装着装置での計測に集約するという方法である。およそ、実験課題内容に対する各種データの傾向を分析することができたため、次年度は、精選した計測装置を用いて同時計測の実験に着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、脳活動、視線移動、心拍、呼吸の4種類の生体情報を同時に計測可能な実験環境の構築し、計測データ間の干渉(不具合)の検証することであったが、各種データ計測の実施、データ間の干渉の有無、さらには被験者の物理的・心的負担度合いについて検証することができた。また、被験者の負担を軽減する策として、実験課題に応じた装着装置の精選についても目処が立ったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験課題に応じた装着装置の精選のもと、大学生を被験者に、算数・数学問題解決時の複数の生体情報の特徴について解明する。実験課題としては、計算領域(文字式含む)、図形領域、文章題を計画しており、それぞれの分野間の差異や、難度の影響が複数の生体情報にどのような形で反映されるのか、また複数の生体情報を組み合わせることで、学習者の問題解決時の特徴をより精緻に分析・解明可能となるのかについて検証する。 これらの成果は、算数・数学問題解決研究における新たな指標としての役割が期待されるものである。
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Causes of Carryover |
検討会議の打合せ回数が予定よりも少なかったために、残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会での発表件数を予定よりも多くし、研究成果公開、社会還元のために使用する予定である。
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