2014 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害者対応の「情報補償コンテンツ」型e-learningシステムの研究
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26590253
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
太田 智加子 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 講師 (00282020)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情報補償型コンテンツ / 英語自主学習e-learningシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障害者の英語学習では一般に、墨字・拡大文字・点字等のメディア変換教材と、音声や拡大文字等の情報補償=ICT環境が利用されている。しかしこれらの「物理的情報補償」では十分対応できない事例が多々見られる。研究代表者の先行研究では、英語の各種問題において、上記の環境を利用し晴眼者用の問題を物理的に情報補償しただけでは、題意すら把握できない例もみられた。一方、英語力は視覚障害者にも近年強く要求され、TOEIC の成績が就職内定条件とされる事例も出てきている。 本研究はこの点に着目し、晴眼者用の英語各種資格試験対策問題・自主学習用問題等を、物理的情報補償のみではなく視覚障害対応の内容となるような「情報補償型コンテンツ」とし、物理的情報補償の上に総合的なe-learning システムを構築することを目的としている。 平成26年度は、この構想に基づき、英語の一般的教材を学ぶ際の困難箇所を、既存教材にて調査・分析し、それに基づいて「情報補償型コンテンツ」に開発し直し、Moodleにシステムを構築した。具体的には、英語資格試験対策のみならず英語力向上の一環として必須であり、未だ視覚障害者対応の自学自習システムの先行事例がない、単語力増強のための教材コンテンツを開発した。 重要性の高い順にレベル1~4まで設定し、学習者は、単語の意味・品詞・例文を学習し、定着度を測るミニテストを受験する。ミニテストでは、視覚障害者には対応しにくい多肢選択式問題をプルダウンメニュー、ラジオボタン選択式にカスタマイズした。 従前の研究は、障害対応のICT 環境自体を「情報補償」としているが、これのみでは多様な形態の設問には対応できない。「コンテンツ自体に情報補償が必要」とする本研究での根幹とする考え方を、単語力増強のための自主学習支援に焦点を当てた研究は前例がなく、さらにその一般化を検討することに本研究の特色と意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画のうち、以下の2点は計画通りに達成でき、1つのコンテンツを完成させることが出来た。 ●英語資格試験対策教材や一般教材を学ぶ際の具体的困難箇所を、既存教材にて調査・分析する。一例として、空所補充問題を解く際の困難は、以下の通りである。文中の空所( )に4つの選択肢が並び、最適な選択肢を選ぶ問題。重度視覚障害学生は、スクリーンリーダーで全ての選択肢を聞いてから正答を選ぶことになるが、1度に4つの選択肢内容を記憶するのは難しいため、1番右にある最後の選択肢まで聞いてから再度、1番左にある最初の選択肢まで戻り、正答を検討しなければならない。この作業は、重度弱視学生にとっては視線移動が多いため身体疲労を増し、全盲学生にとっては何度もカーソルを左右・右左に移動させる作業が必要となり非効率的である。 ●上記分析に基づき、「情報補償型コンテンツ」を開発し直し、Moodle等にシステムを構築する。
しかし、システム開発費に多額の費用がかかり、旅費を拠出できず、学会発表を行うことが出来なかった。 これらのことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
●平成26年度に引き続き、英語の資格試験対策教材や一般教材を学ぶ際の具体的困難箇所を、既存教材にて調査・分析する。 ●視覚障害学生がアクセスしにくい教材のタイプを調査し、優先的にそれらのコンテンツ化を進める。 ●上記分析に基づき、「情報補償型コンテンツ」を開発し直し、Moodle 等にシステムを構築する。
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