2014 Fiscal Year Research-status Report
通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒の包括的な心の健康教育支援
Project/Area Number |
26590267
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
神尾 陽子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部, 部長 (00252445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 信一 同志社大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90404392)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 発達障害・情緒障害 / 通常学級 / 心の健康教育 / 不安 / 集団認知行動療法 / 自閉スペクトラム症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発達障害の可能性のある児童生徒の二次障害を予防し、その他の児童生徒についても精神的健康を増進し、社会性を高める集団での取組みを提案することを目的として着手された。昨年度、小学校通級指導教室を利用する高学年児童を対象に教師が実際に認知行動療法アプローチにもとづく不安軽減プログラム(10セッション)を実施し、その実施可能性を検討した。実施に先立って、教師用研修を実施し、教師用実施マニュアルを作成した。保護者から同意が得られた対象児3名について、実施前後と追跡時に質問紙調査を実施した。その結果、教師のプログラムへの忠実性、児童の出席率、ホームワーク実施率、プログラムの理解度は高水準であることが確認された。社会的妥当性を尋ねる事後アンケートでは、通級教師と児童本人からは同様に肯定的な回答が大半であった。 中学校通常学級在籍生徒を対象とするユニバーサルレベルの健康支援として、コーチング法と仲間媒介法に基づく集団社会的スキル訓練プログラムを開発し、本プログラムが生徒の社会的スキルを向上させるかどうか、生徒の心理社会的適応状態の改善がある場合、それは生徒の自閉症的特性の程度によって違うのかどうかについて、介入群(3クラス116名)と統制群(3クラス107名)と比較し検討した。その結果,自閉症特性高群の生徒に対しては、介入群では有意な社会的スキルの向上と身体的ストレス反応の低下が示された。自閉症特性低群の生徒に対しては、介入群では統制群と比較して介入後に有意なソーシャルサポートの向上と孤独感の改善が示された。
以上より,自閉症児集団向け不安軽減プログラムの学校場面における実施可能性が確認された。また通常学級向けプログラムは、生徒の自閉的特性によって異なる効果が得られる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られた結果にもとづいて、学校教育課程内におけるさまざまな場面での実施を想定して、プログラムを再構築する。本研究は、情緒障害の学校での早期対応を目標に置いているため、学校にいる様々なレベルのハイリスク児に対応したプログラムやその効果指標の選択を検討する必要があり、そのために今後は教育相談やクリニック受診児など、クリニカルレベルの児童生徒も含めて幅広く検討をすすめていく。一方、ユニバーサルタイプは児童生徒に応じた効果指標が重要となるため、最適な指標の組み合わせを提案できるよう検討をすすめる。学校や家庭のニーズに応じた学際的かつ包括的な心の健康教育プログラムを提唱し、インクルーシブ教育への深化を目指していきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] 通級指導教室に在籍するASD児の不安症状に対する集団認知行動療法の予備的検討(第一報)2014
Author(s)
野中俊介, 三宅篤子, 小原由香, 原口英之, 小松佐穂子, 山口穂菜美, 荻野和雄, 岡島純子, 石飛信, 高橋秀俊, 神尾陽子
Organizer
日本認知・行動療法学会第40回大会
Place of Presentation
富山
Year and Date
2014-11-03
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