2015 Fiscal Year Annual Research Report
アセン類の光二量化反応を活用した結晶性有機ナノ空孔材料の創成
Project/Area Number |
26600004
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 充朗 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (20724959)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 共有結合性有機構造体 / 結晶性多孔質材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,化学的に安定な結晶性多孔質有機材料の創製を目指し,アセン類,特にアントラセンの光二量化反応を鍵反応とする共有結合性有機構造体(Covalent Organic Framework, COF)の構築に挑むものである.前年度は,COFモノマーの鍵ユニットとなるアントラセン誘導体の効率的な合成法を確立した.これを受けて本年度は,この鍵ユニットを連結してCOFモノマーのモデルとなる大環状化合物を得ることを主な課題とした.具体的には,ボロン酸とオルトフェニレンジアミンの脱水縮合により,計6ユニットを1ステップで連結し,大環状骨格を構築することを試みた.ここで連結ユニットとなるジアザボロール骨格は,反応系中で可逆的に形成できるとともに,中性および弱塩基性条件下で加水分解に対して比較的安定であり,高い化学安定性をもつ構造体を提供する本研究の目的に合致する結合モチーフである.反応条件を系統的にスクリーニングした結果,高極性溶媒中,ボロン酸が過剰の条件で反応を行うことにより,目的とする大環状骨格が比較的高効率で形成されることを見出した.得られた化合物は,約1.2 nmの内径を有する「shape-persistent」な環状構造をもち,これを共有結合により規則正しく連結・集積することで,本プロジェクトが目指す結晶性多孔質有機材料が構築できると期待される.また,ジアザボロールを連結モチーフとする大環状化合物の合成は,それ自体でCOFのような拡張構造の構築にも応用可能と考えられる.今回の申請研究で得られた合成化学的知見は,有用な新規多孔質有機材料の創製に資する重要な成果であり,今後,それを基盤とした新規材料開発への展開を図る.
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