2014 Fiscal Year Research-status Report
力検出を用いた近接場光学顕微鏡の単原子観察条件の研究
Project/Area Number |
26600013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 康弘 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40206404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質と光との電磁相互作用を原子レベルで直接測定できる装置が開発されれば、光科学や表面科学、材料科学、生物科学など多くの分野で革新的な研究手段になることは間違いない。本研究は、物質表面の個々の原子や分子を原子分解能で観察可能な次世代の光学顕微鏡を開発するとともに、その最適な観察条件を解明することを目的とする。 具体的研究課題は、以下の3点である。 1)近接場光を力として高感度・高分解能に測定するため、様々な構成要素を低ノイズ化する。 2)近接場光を原子分解能で観察するための条件を理論的・実験的に明らかにする。 3)原子レベルで平坦な表面を取り上げ、近接場光の原子分解能観察を実証する。 本研究では、物質表面に局在する光(近接場光)の強度分布を力として検出するという独創的なアイデアを導入する。このような光学顕微鏡が開発されれば、これまで知ることのできなかった物質と光との原子スケールの相互作用を直接測定できるようになる。得られる知見は、光学材料の機能発現機構を解明することを容易にし、物性科学において極めて重要な学問領域であるナノフォトニクスを大きく進歩させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究目的である物質表面の個々の原子や分子を原子分解能で観察可能な次世代の光学顕微鏡を開発することに成功した。 具体的には、以下の課題について検討し、当初の研究計画を確実に実施できた。まず、近接場光を力として高分解能に測定するための条件を理論的に検討した。次に、近接場光を力として高感度に測定するため、カンチレバーの変位検出計の低ノイズ化を実現した。また、カンチレバーの小振幅動作と高周波化を実現し、近接場光を力として高感度・高分解能に測定できるようにする。また、近接場光を高分解能に検出するため、バックグランド光を低減した光照射系を実現した。さらに、試料表面として原子的に平坦なサファイア表面などを取り上げ、その表面に局在する近接場光を原子スケールで観察できることを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
近接場光を最も高感度に測定するための条件を実験的に検討する。具体的には、周波数シフト曲線(周波数シフトの探針・試料間距離依存性)を測定し、次に、これを数値計算により力曲線に変換し、さらに、様々な振動振幅に対する周波数シフト曲線を導出する。この周波数シフト曲線に対する信号対雑音比を求め、最も感度の良くなる観察条件を求める。
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