2014 Fiscal Year Research-status Report
高度に局在化したナノ光源による近接場光学顕微鏡の3Dイメージング
Project/Area Number |
26600014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
VERMA Prabhat 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60362662)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノプローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではプラズモンフォーカス技術を用いて、“高度に局在化したナノ光源”を形成し、3 次元空間全 方向に高い空間分解能を有する近接場光学顕微鏡を構築する。ここで開発する手法は微細構造を用いて光とプラズモンのカップリングと伝搬を制御し、試料や近接場プローブ先端に直接光を照射せずにナノ光源を形成する。“高度に局在化したナノ光源”はバッククグランド信号を効果的に抑制するのみならず、深さ(z)方向を含めた 3xyz次元方向に高い局在化を達成し、プローブの動作に追随して自由に走査することができる。このような自由度の高い光源を用いて分光イメージングシステムを作製し、近接場光学顕微鏡の3 次元イメージングを行う。 本年度では以下を達成することができた プラズモンナノフォーカシングは表面プラズモンの凝集による複雑な電 磁場現象であるため、電磁場解析に適したFDTD 法を用い、最適な金属探 針の構造を見出す。プラズモンナノフォーカシングに用いる探針には、大きく分けて 2 つの重要な要素がある。1)入射レーザーとプラズモンのカップラー構造と 2)プラズモン伝搬・集光過程に影響する構造である。プラズモン伝搬および集光仮定において、薄膜構造と伝搬モードが重要なパラメータとなる。 真空蒸着法などの製膜法で金属探針を作製する場合、探針先端での近接場光強度が金属コーティング の膜厚に大きく依存することが我々の行ったシミュレーションで分かった。また探針の頂角や先端径にも依存するため、パラメータを変えながら計算を繰り返し、最適値を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、有限差分時間領域(FDTD)法によるプラズモンナノフォーカシングに適した金属構造の探索を目的としていた。これまでのデータの解析方法を検討し改良することで、パラメータを変えながら計算を繰り返し、最適値を見出すことができた。従って順調な進展であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
FDTD 法により見出した最適な金属探針の構造を実際に作製する。市販されている原子間力顕微鏡 用シリコンカンチレバーを金属コーティングして作製する。プラズモンの伝搬効率は表面粗さに大きく依存するので、製膜法として真空蒸着法やスパッタリング法などを試み、適した方法を見 出す。それぞれの製膜法で、製膜速度や製膜時の温度などのパラメータ依存性も精査し、原子レベルで滑らかな金属コーティングを実現する。一般的にシリコンカンチレバーへの製膜はコーティングが粗くなる傾向にあるが、申請者のグループは独自のアイディアによってコーティングを著しく改善できる技術を見出した。 従って1 nm 以下の粗さでコーティングを作製することを計画している。集束イオンビームリソグラフィを用いて金属コーティング上にグレーティング構造を作製する。このグレーティングにレーザーを照射することによってプラズモンナノフォーカシングを誘起し近接場光を 探針先端に生成する。
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Causes of Carryover |
次年度への繰越金は4,514円と少額で、概ね計画通りの支出であった。この残額で研究に予定する実験器具を購入するのは難しく、次期に繰越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算と併せて早急に使用することとしている。
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