2015 Fiscal Year Annual Research Report
電圧印加時のメスバウアー分光法の開発と非平衡磁気状態の観測
Project/Area Number |
26600022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡林 潤 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70361508)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メスバウアー分光 / 外場印加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メスバウアー分光装置を立ち上げ、特に、外場印加時のメスバウアー分光を行えるようにすることを目的としている。本研究で最も特徴があるのは、効率的なガンマ線照射を可能にする電圧を印加できるマニピュレータの開発である。低温冷却のためのクライオスタットに電圧印加用の電極を導入し、試料電位をアースから切り離すための試料ホルダーを自作した。そして、このシステムを用いて初めて解明できる物性に応用する段階まで到達できた。特に、温度変化測定を高分解能に行える無振動型冷凍機の導入により、低温でのメスバウアースペクトルの観測を実現でき、外場印加時の測定を行える環境を整備できた。これにより、メスバウアー分光におけるパラメータを増やした新しい研究に進展できる。本研究にて着目した物質系として、スピンクロスオーバー錯体の転移過程の詳細な温度および外場による多変数環境下でのメスバウアー分光測定である。系統的なスペクトル変化を計測するための準備を整えることができ、メスバウアー分光の研究分野における新しい研究手法を提案できるところまでに至ることができた。しかし、課題もいくつか見つかり、今後改良していく必要がある。冷却の際の徹底的な振動の除去によるスペクトルの高分解能化、外場印加応答の妥当性の検証について、他の実験手法と相補的に検討していく、などが挙げられる。これらを今後進めていくことで、多自由度環境での物性計測に応用するための萌芽的な研究を推進することができた。
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Research Products
(5 results)