2014 Fiscal Year Research-status Report
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26600029
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
石川 満 城西大学, 理学部, 教授 (70356434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇和田 貴之 城西大学, 理学部, 助教 (30455448)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ドット / 白色発光 / 溶媒効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、計画に従い室温下(23℃)でCdSeの白色蛍光量子ドットの再現に成功した。蛍光量子収率0.19という値を得た。以前の研究では標準試料の相対値として~0.4を得ていた。今回の値はその半分程度の値であったが、絶対蛍光量子収率測定装置を用いて測定したので信頼性は格段に高い。トリオクチルホスフィン(TOP)を溶媒としてCdSe量子ドットの調製し、その蛍光を調べたところ驚くべきことに青色であった。これをクロロホルムに分散させたところ既報通りの白色蛍光が再現した。このような顕著な溶媒効果はこれまでの研究では見落とされていたので、急遽、この溶媒効果に着目した研究を展開した。TOPが配位した量子ドットの表面がクロロホルムに置換し、それに含まれるハロゲン原子と量子ドット表面のCd原子との電子的な相互作用によって溶媒効果を説明できる見通しを得た。 顕微鏡とビデオカメラを組合せたビデオ顕微装置(既設)を用いて1個の量子ドットによる蛍光輝点を観測する。このとき可視域だけでなく紫外域まで励起波長を拡張するのが当初計画である。今年度は、ビデオ顕微装置用の蛍光励起光源として、レーザーでは困難な紫外-可視領域で励起波長を連続的に選択可能で、しかも従来のランプ光源よりも照射面積をレーザー並に小さくできるという顕微鏡測定に最適な光源を導入した。周辺の光学系の完全な整備は次年度の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では想定していなかった量子ドットの発光に及ぼす顕著な溶媒効果を発見した。他に類例を見ないこのような溶媒効果に着目した研究を今年度展開した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って単一の白色蛍光量子ドットの蛍光が点滅するかどうかを確認する。点滅それ自体が1個を測定していることの証拠になる。点滅しない量子ドットでは、見ている蛍光輝点が1個の量子ドットに起因することを確認するために、単一光子時間相関装置を用いて蛍光アンチバンチングを測定する。点滅の有無におよぼす励起波長依存性を調べる。量子ドットのイオン化が点滅のOFF状態の原因である。一般に励起波長が短波長になるとイオン化が起こる可能性が高くなるので、可視光励起では点滅を示さず、励起光が短波長になって点滅が始まれば、量子ドットのイオン化に対して、極めて重要な知見が得られる。それはイオン化が起こるエネルギー閾値である。一方、点滅を示す場合、ランダムなOFF時間の統計分布に対する励起波長依存性を解析する。励起光が短波長になるにつれて平均OFF時間が長くなる可能性がある。平均OFF時間の励起波長依存性を調べ、ある波長以下で顕著に平均OFF時間が短くなれば、同様にイオン化エネルギー閾値を推定できる。
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Causes of Carryover |
必要な物品を購入したところ、値引きにより1,072円の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額なので、次年度の物品費の一部に充てる見込みである。
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Research Products
(1 results)