2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26600034
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 俊也 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究チーム長 (90314054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 優 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10345324)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フラーレン・ナノチューブ・グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
単層カーボンナノチューブ(CNT)は生体透過性の良い近赤外領域で発光することから、臨床検査における蛍光プローブとして非常に期待されている。さらに、CNTを適度に酸化することによって発光効率を実質的に100倍以上向上できることが発見され、実用化に向けた土台が整ってきた。本研究では、その酸化CNTの近赤外光プローブ応用の実現性を探るため、実際に抗体分子と結合させ、特定のタンパク質との免疫沈降反応をおこなった。 まず、酸化CNTは有機合成の手法をもちいて合成し、その後抗体との結合を試みた。研究開始当初おこなった超音波破砕機をもちいた分散方法では、合成された酸化CNTの水溶液化の効率が悪かったが、出力がマイルドなバス型超音波洗浄器による分散をおこなうと、高濃度の酸化CNT水溶液を得ることができた。この酸化CNT水溶液作製方法の最適化に時間がかかり、抗体分子との結合をおこなうことができなかった。 一方、大気中でCNTの薄膜に紫外光を照射することにより、従来得られているものとは別種の酸化CNTを合成できることを発見した。この酸化CNTは従来法で得られる酸化CNTよりも長波長で発光するものが得られ、カイラル指数(6,5)のCNTに対して1300nm付近で発光し、生体中の蛍光プローブとしては最適であることが分かった。この酸化CNTをポリエチレングリコールで水溶化し、抗体分子であるイムノグロブリンGを化学結合させた。さらに、Gタンパクとの免疫沈降反応をおこなったところ、未酸化CNTと同様に非常に効率よく反応することが確認できた。 本研究によって明らかになったことは、まず、酸化CNTは酸化前の元のCNTと比べ、最適な分散方法が異なることと、酸化CNTは元のCNTと同様に効率よく免疫沈降反応をおこなうことができるという2点である。
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