2014 Fiscal Year Research-status Report
電子線小角散乱からの新規位相イメージング法によるナノスケール電磁場の定量的可視化
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26600042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 順 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (40335071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 宏和 古河電気工業株式会社研究開発本部横浜研究所, その他部局等, 主席 (70649821)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 回折顕微法 / 位相イメージング / 小角散乱 / 電子線 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は再構成位相の定量性を阻害する以下の2要素への対策に取り組んだ。 一つ目は、小角散乱図形記録中のマイクロラジアンオーダーのドリフトである。これは回折図形を形成するレンズ磁場の揺らぎに起因しており、CCDカメラによる1秒以下程度の短時間露光を繰り返した後に相関を取って足し合わせることにより、影響を回避する手法確立に成功した。またこの過程で、CCDカメラの暗電流値が変化しないピーク強度閾値の割り出しにも成功し、高いSN比を持ちドリフトの影響のない小角散乱図形取得の手順を確立した。 二つ目は、回折図形に含まれるバックグラウンド強度である。エネルギーフィルターで非弾性散乱電子を除去した場合でも、小角散乱領域にバックグラウンド強度が存在することが、本課題研究開始時点までに判明していた。この強度は試料波動場と回折波動場の間のフーリエ変換関係を乱すため、再構成結果にアーティファクトを生じる。このバックグラウンドの成因はこれまで未解明であったが、レンズ収差とビーム空間干渉性、さらにCCDカメラの滲みに起因することが判明した。これらへの対策として、円形開孔絞りからのAiryディスクの強度プロファイルをシミュレーションとフィッティングすることにより、各種パラメータを決定する方法の確立に成功した。このフィッティング結果に基づき、まずは干渉性とCCDカメラ滲みの影響をデコンボリューション演算で取り除き、その後レンズ収差による位相変調を差し引くことで、試料からの位相変調だけを精度良く再現する手法の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書「研究の目的」欄に記した項目のうち、データ定量性の伸張に不可欠な複数の対策を確立することに成功し、データ処理作業の簡素化と自動化に向けた作業手順の確立および処理プログラムの作成にも大幅な進展があった。これらのうちのある部分は次年度に取り組む計画であったが、前倒しして達成することができた。一方で、予定していた半導体のテスト試料を用いた電子線ホログラフィーとの比較実験は分担者と共同で遂行中であり、次年度に持ち越しとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、半導体テスト試料を用いて電子線ホログラフィーとの位相検出精度・感度についての比較、タイコグラフィーと組み合わせた直径1μmまでの視野拡大を進める。また、誘電体・磁性体微粒子周囲の電場磁場分布を正確に観測し、電子線ホログラフィーに対する優越を明示する。また、FIB加工したレーザーデバイスなどを用いて、試料エッジから奥深く離れた部分をも含めた広範な領域のドーパント分布を観測し、定量性評価のために有限要素法による静電ポテンシャル計算との比較を詳細に検討する。これらによって本手法の有意義性を実証し、本課題研究の集大成とする。
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Causes of Carryover |
実験に使用する電子顕微鏡を当初計画から変更したため、電界放出型電子顕微鏡フィラメントの交換時期が先送りとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の電界放出型電子顕微鏡フィラメントの交換費用に充てる予定である。
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