2015 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンナノポアを用いた光学検出による一分子DNAの塩基配列情報解読
Project/Area Number |
26600055
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎木 敏治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70261196)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 1分子計測 / ナノ光学 / ナノ流体工学 / ナノデバイス / 生体生命情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ分解能下でのナノポアDNA検出・塩基配列情報取得を目指し、主に以下の3つの項目に取り組んだ。 (1)STED法援用による高分解能化:シリコンナノポアと紫外近傍の短波長光を組み合わせることにより、ポア近傍に1~2nmで急激に立ち上がる電界を形成することができる。この立ち上がり距離が波長依存性をもつことを利用し、蛍光励起光(波長365nm)とSTED光(波長488nm)を組み合わせた高分解能検出の可能性を議論した。ポア近傍の3次元電磁界分布をもとに、ポアの出口近傍1nmの領域のみで蛍光を発する条件を見出すことができた。 (2)プラズモニックナノポア構造による高分解能化:ナノポアに金ナノ粒子を充填することによりその空隙に局所増強電場を発生させることを試みた。ゲル電気泳動を用いて金ナノ粒子を充填させる方法を考案した。ラマン散乱分光や二光子励起発光計測、ならびにそれらの偏光依存性、励起光照射方向依存性などを詳細に調査し、充填のジオメトリーを評価できることを明らかにした。また、ナノポアに薄く金を蒸着した系に対しても、同様の設計、評価を行った。 (3)DNAナノポア通過速度の制御:塩基配列情報取得のためにはDNA通過速度の低減が必須であるため、その具体的方法を検討し、実証を行った。塩電解質としてイオン半径の小さなリチウムが有利であること、ナノポアを挟んだ両側で塩濃度勾配を与えることによりDNA検出効率を低下させることなくナノポア通過速度低減が可能であること、正に帯電したアルミナをナノポアに被覆することによっても速度を低減できることなどを見出した。
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Research Products
(7 results)