2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26600061
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳澤 直樹 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (20728282)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロ流体デバイス / 花粉管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、花粉管を誘引する物質の受容体が存在しているとされる、花粉管先端部分の細胞膜のみを回収するマイクロ流体デバイスの開発を試みた。当初の研究計画では、花粉管をデバイス内に伸長させ、その先端部分を電気浸透流によって切断する予定であったが、細胞膜を覆っている細胞壁が非常に硬く、流速を上げただけでは再現性良く花粉管先端部分を切断することは出来なかった。また、花粉管培養液中のイオン濃度が非常に高いことで、電気浸透流の制御を正確に行うことが困難であった為、電気を使っての流体操作は断念することにした。しかしこれらの問題は、デバイスをシリンジポンプに繋ぎ、圧力によって流体操作を行う方法に切り替えることで解決した。また、花粉管先端部分を切断する際に、細胞壁を溶解する酵素を含んだ溶液を高速で流すことで、容易に先端部分を切断できることも確認できた。そして、切断した花粉管先端部分をデバイス外に誘導し、回収することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究で、花粉管の先端部分を切断する手法は確立し、酵素液を用いることで切断された花粉管の細胞壁を取り除き、花粉管膜のみをデバイス外に誘導出来ることは確認できた。しかし、当初予定していた多量の花粉管を並列に処理する為のデバイスは未だ実現できていない。その理由として、個々の花粉管の伸長してくるタイミングがそれぞれ異なることから、多量の花粉管に対して先端部分を切断する処理を同時に行えないことが挙げられる。当研究の最終目標である、質量分析器を使った先端部分の膜タンパク質の同定にはある程度のサンプル濃度が必要となる為、より多くの花粉管を処理できるデバイスを開発する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
よりハイスループットに花粉管切断の処理ができるデバイスの開発を進めており、その技術が確立でき次第、デバイス外にサンプルを誘導し、質量分析器で膜タンパク質の解析を行う予定でいる。多量の花粉管を並列に処理する具体的な方法として、花粉管の伸長を流路内の任意の位置で止め、先端位置を揃えること検討している。これまでの研究で、流路内に微量の電流を流すことで花粉管の伸長を止めることが出来ることを確認しているため、そのような方法で多量の花粉管を処理できるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく中で、既に所有していた装置で実験が可能となったため、当初予定していた大型物品の購入を見送る事となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究では、デバイス流路内の液体の流れを自動でコントロール出来るようにする計画であることから、そのために必要な流体制御装置の購入を予定している。
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