2014 Fiscal Year Research-status Report
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26600063
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 真楠 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50546596)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノマイクロセンサー / 熱電 / 量子効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒータ/温度計組込み型機械的破断接合(MCBJ)を用いてサイズ可変ビスマス1次元ナノワイヤーを作製する手法を構築し、これを用いてビスマス接合を機械的に徐々に狭窄させながら同時に熱電特性測定を実施することで、サブマイクロメートルからサブナノメートルの領域においてビスマスナノワイヤーの熱電特性に発現する量子サイズ効果を明らかにすることを目的とした。そのために、まずビスマスナノワイヤーのサイズ制御用自動プログラム並びに熱電特性計測用の測定系の立ち上げを行った。そして、従来のナノ加工プロセスを用いてビスマスナノ接合を作製した。その際、低融点なビスマスに最適な高周波スパッタによる成膜条件を検討した。その結果、ビスマスナノ接合を作製することはできたものの、ポリイミド層の酸素プラズマエッチングプロセス時において接合表面が著しく劣化してしまい、接合が破断することが分かった。そこで、ビスマス成膜時に、プラズマエッチングに対する保護層として白金層を下地及び表面上にスパッタ成膜した。これにより、酸素プラズマ処理後においても、フリースタンディングなビスマス接合構造を損傷なく残すことができた。そして、自動測定プログラムを用いて白金保護層を有するビスマス接合の電気伝導度測定を行った結果、室温真空下においてビスマス接合が数百ナノメートルサイズから破断に至るまでの狭窄過程において、その電気伝導度が階段状に変化する傾向が観察された。このステップ状の電気伝導度変化は、引っ張り応力の付加に伴いビスマス原子サイズ接合の原子配列が変化したことに起因するものであると考えられる。以上のように、ビスマスMCBJ素子の作製及び熱電特性測定法の創成に成功した。同手法は、今後の低次元熱電材料開発にとって有用なツールとして応用されることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白金保護膜による接合の酸化防止という工夫を施すことにより、本研究における大きな技術的課題であったビスマス接合MCBJ素子の創製に成功した。さらに、接合熱電特性測定用の自動制御プログラムを構築し、これを応用して実際にビスマス接合の電気伝導度におけるサイズ効果の評価を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
白金保護膜により、ビスマス接合の酸化を防止することができた、その熱電特性が白金層の存在により変化している可能性を新たに検証する必要性が現れた。そこで今後は、白金保護層の膜厚を変えてビスマス接合の熱電特性測定を実施し、輸送特性測定結果における白金層の影響の有無を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究課題において、ビスマス接合の作製工程上、接合表面のコーティング材として二酸化ケイ素薄膜ではなくプラチナ薄膜を用いる必要が生じた。その結果、当初購入予定であった二酸化ケイ素蒸着源分の費用が未使用額として残ることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コーティング材に用いたプラチナ薄膜が、ビスマス接合の熱電特性測定結果に及ぼす影響を評価するための追加実験で必要となる消耗品を購入する。
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Research Products
(6 results)