2014 Fiscal Year Research-status Report
リニアマイクロ塗付プロセスによる異方性有機半導体薄膜の創製と電子・光機能応用
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26600073
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 彰彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80304020)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機・分子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高い蛍光量子効率を有し、大電流密度の電流注入可能な両極性共役分子・高分子及びその複合体薄膜を用いた配向膜の作製手法の開発とそのレーザー応用を目的とし、平成26年度は以下について検討を行った。 (1)毛細管現象を利用した溶液フローに伴う分子配向制御を検討した。100ミクロン以下の均一な空間をもつ非対称型基板を作製し、溶液の滴下と毛細管現象により自発的溶液フローが起こり、ライン状の薄膜の作製に成功した。特に、メソゲン基を有するπ共役系高分子を溶質として用いた場合について、単体及び複合体薄膜の作製に成功した。 (2)作製した薄膜について、SEM、AFM、偏光顕微鏡での観察を行い、凝集状態、分子配向状態、モルフォロジーについて明らかにした。複合体については混合比に依存したミクロ相分離構造を明らかにした。 (3)面内、面外XRD測定により、薄膜中の結晶構造を調べ、分子配向秩序を明らかにした。特に、基板界面近傍では基板表面の規制力が働くのに対し、バルク内部では配向方向が異なることがわかった。 (4)吸収及び蛍光スペクトルなどの光物性を調べた。偏光分光解析より、二色性比と遷移双極子モーメントの方向を明らかにした。時間分解蛍光測定により、蛍光寿命を明らかにし、配向膜中における共役分子・高分子の励起子の挙動と格子緩和の動的過程についての知見が得られた。 (5)ITO基板上へのサンドイッチ構造、シリコン基板を用いたボトムコンタクト型電界効果トランジスタ構造を作製し、導電率やキャリア移動度の異方性を明らかにした。現時点では、光学的な異方性に比べ、電気的異方性は低く、その詳細を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画に記載した内容について予定通り遂行した。適用可能な材料が多種多様であることが判明し、両極性のπ共役系分子については、詳細な検討を平成27年度で行う予定である。作製については、ストライプ状の薄膜形成の手法についても検討済みであり、今後詳細が明らかになる見込みである。もちろん27年度は研究計画どおり、本研究で開発した薄膜作製手法を用いて、デバイス作製を行い、測定、評価、解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、以下の研究について推進する。 (1)超短パルス光励起により、レーザー発振特性を評価し、その分子配向度と発振閾値との関係を明らかにする。また、レーザー発振しきい値の低減化についての条件を検討する。 (2)短パルスの電圧印加における注入電流及び発光の過渡応答を計測し、電圧上昇に伴う電流値および発光強度の非線形的変化を明らかにする。また、電流値上昇に伴う温度及び発熱量を測定し、電流値の非線形的変化との相関性について評価を行う。さらに、配向膜内で起こるコンフォメーション変化を考慮して、電流注入メカニズムを解明する。 (3)短パルス入力による高速駆動のため、電気的時定数を抑制するデバイス構造を設計し、作製を行う。マイクロプローブ付き真空チャンバーを用い、電気的性質及び温度特性、電界発光特性を明らかにする。 (4)電荷注入によって観測される発光効率を測定し、従来型の発光素子との比較検討を行う。更にクライオスタット中で液体窒素温度以下での低温測定を行い、温度依存性を明らかにする。また、発光スペクトルをCCDカメラ等を用いて測定し、その発光観測方向の角度依存性、偏光特性、パルス駆動時の周波数特性を明らかにする。
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[Journal Article] Monodomain Planar Alignment of 1,4,8,11,15,18,22,25-Octahexylphtalocyanine by Melt Growth Method2014
Author(s)
N. Yamasaki, T. Saito, J. Kim, H .Yoshida, A. Fujii, Y. Shimizu and M. Ozaki
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Journal Title
Thin Solid Films
Volume: 554
Pages: 99-101
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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