2016 Fiscal Year Research-status Report
金属酸化物からのトンネル電子による、結晶性酸化物ヘテロ接合の形成
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26600087
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡部 行男 九州大学, 理学研究院, 教授 (40274550)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 移転により故障や性能劣化した装置の殆どが2016年10月に回復し、2017年1月には最後の装置が回復し、これらを用いる研究を開始した。この遅れのため、期間延長を申請した。特に、本科研費で購入予定の原子力間顕微鏡には、故障した既設原子力間顕微鏡で予備検討が必要だったが、6月に動作可能になり予備検討を行い、装置選定の条件を9月までに絞り、メーカー選定した。また、兵庫県立大学に行き、非線形誘電率顕微鏡測定の予備検討実験を行った。
2) 2015年度の第一原理計算システムで、研究レベルの計算を行うため、計算法をVASPに絞りそのGPU計算(graphical procecessing unitを用いる超並列計算)を開始した。これにより、50~60個の重い原子からなる超セルの再安定構造と電子状態やstate of artと考えらていれるHybrid計算での超セルの計算が、妥当な計算時間でできるようになった。こうして、ナノ接近時の電子状態変化を計算し、結果を得だした。 また、結晶面による不対電子(dangling bond)を計算で追えるようになり、結晶面による反応性の違いの解明に進んでいる(これらの結果の一部は、今年9月の国際会議で発表予定である)。さらに、従来、第一原理計算はそのまま信じられることが多かったが、微妙な問題では間違っていると思えるものがある。このため、信頼性の高い第一原理計算を行うため、そのための条件、特に、交換相関ポテンシャルの効果を調べたので、論文執筆中である。
3) 本申請時は、移転時期が最終決定していなかったが、移転そのものと、1)に記載した故障のため、本申請で購入予定の装置が2年遅れて発注になった。この発注は、昨年11月で、3月初めに納入予定であったが、仕様の一部が未達成のため、納入を延期してでも仕様を達成するよう要請し、現在未納である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の事業期間(H26-H28)が、キャンパス移転前の整備、移転、移転後の整備と重なった。研究室人員少ないためと、手作りて組み上げた装置が多いため移転に手間がかかるため、この対応に膨大が時間がかかり、さらに、複雑な装置のため、移転業者が失敗を繰返し、その復旧に時間がかかった。また、新キャンパスの部屋面積が1/3になったため、装置の配置に問題が生じたのも一因である。 このため、H27年は、理論以外の研究は殆ど進まなかったが、H28は、移転時の故障を復旧をしつつ研究を行ったものの、ほぼ今年度初めに想定したの内容の研究を進めることができた。但し、微粒子を用いたナノ構造を予定していたができなかった。但し、これに代わり、広域のラマン分光マップの検討を行った。 しかし、購入に関しては、H26,H27の遅れを引きずり、発注自体が遅れ、さらに、発注先の仕様未達により、予定内に物品が入らなかった。
従来は、仕様未達の場合も、予算の繰越ができないため、仕様未達のまま納入を受け入れざるを得なかった。しかし、基金制度と事業期間延長可能が可能になったため、期仕様を優先して、納入を延期を許可することにした。このようなことが可能になった、本制度に深く感謝申し上げる次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ナノ構造作成過程の第一原理計算と実験照合 2. 広域のラマン分光マップによるナノ構造解析 3. 微粒子を用いたナノ接近構造の形成 4. ナノ構造のための第一原理計算の信頼性の解析 その他:国際会議発表と論文発表
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Causes of Carryover |
移転そのものと、移転による数多くの装置の故障のため、本申請で購入予定の装置が2年遅れて発注になった。 この装置を、遅くとも3月初めに納入予定との条件で、昨年11月に発注したが、基本仕様の一部が未達成のため、納入を延期し仕様を達成するよう要請した。 このような購入先の遅れにより、本来本度末に全て、予算を使う予定であったが、それが全て、2017年度に繰り越すことになった次第である(現在残った本科研費予算は全てこの支払いのに確保したものである)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記装置の仕様達成計画をメーカーに依頼しており、これが妥当なら、現在のメーカの納入を待ち、それで予算を全て使用する。
計画が無理と本学の用度係りが判断する場合、解約し他のメーカから購入することを用度から勧められている。
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Research Products
(1 results)