2015 Fiscal Year Annual Research Report
電圧印加非接触原子間力顕微鏡/分光法による水素結合の原子分解能解析
Project/Area Number |
26600098
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新井 豊子 金沢大学, 数物科学系, 教授 (20250235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自作超高真空非接触原子間力顕微鏡(UHV nc-AFM)を活用し、探針と試料基板のそれぞれに、水素結合(X-H…A)すると考えられるプロトンドナー(X-H)とプロトンアクセプター(A)を形成して、探針を徐々に試料に近づけ、水素結合形成過程の力学的および、電気伝導変化を計測する。 Si探針は、UHV中で、600℃程度に加熱しながらプラスの高電位を印加し、探針の先鋭化と、清浄化を行った。この処理により、Si探針先端にダングリングボンドが存在する活性な探針になる。この清浄Si探針に水素および酸素を終端した探針を用意した。試料はSi(111)7x7再構成表面を作製し、微量の水素、および、アンモニア吸着表面を準備した。アンモニア(NH3)ガスはSi(111)7x7表面のアドアトムまたはレストアトムに吸着後、NH2とHに解離し、解離したHは隣接のレストアトムまたはアドアトムに吸着する。今回用意したSi(111)7x7再構成表面に水素、アンモニアガスを吸着させた表面は7x7のDAS構造は残っている。 清浄Si探針とアンモニア吸着Si(111)7x7表面間にバイアス電圧を印加しながらをnc-AFM/STM像を取得した。電流変化像では、HまたはNH2が吸着したサイトではトンネル電流量が清浄アドアトムよりも少なくなった。Δf―距離曲線を取得し、重み付き距離積分をして、力―距離曲線を算出した。これらの曲線の距離依存性から測定したサイトが、清浄アドアトム、NH2基、H基であることを同定し、それぞれの、最大引力が1.0~1.5 (nN)、0.05~0.06(nN)、0.09~0.1 (nN)であることを見いだした。すなわち、Si-Siの共有結合力よりも、Hを介した結合力は弱く、Si-H…Siの結合力は、0.1 (nN)程度で有り、Si-N-H…Siの結合力はさらに弱い。
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