2015 Fiscal Year Research-status Report
-60dB高消光比・90%高透過率・堅牢・低コストなテラヘルツワイヤーグリッド
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26600108
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 健仁 茨城大学, 工学部, 講師 (60550506)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テラヘルツ波帯 / 偏光子 / 金属スリット構造 / メタマテリアル / モードマッチング法 / 散乱行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、テラヘルツ波を活用した計測によりサイエンスの新しい扉が開かれる中、高感度かつ所望の特性を実現可能なテラヘルツ計測ツールの実現が鍵となっている。本研究課題では達成数値目標として、①–60 dB消光比、②90%強度透過率(透過電力)、③高堅牢性、④低コストの4点全ての両立を定めている。既に、高堅牢で低コストなカットスルー金属スリットを用いることで、-50 dB以下の高消光比、80%程度の高透過電力を約2 THzまでの比較的広帯域でおおむね実現した。カットスルー金属スリットとしてはフィルム構造と中空構造を用いている。フィルム構造では低損失なシクロオレフィンポリマーフィルムの片面に導体損失の少ない銅層を直接成膜している。中空構造では、導体損失の少ない金層を成膜した金属を用いている。中空構造のテラヘルツ偏光子については、2016年1月にOptics Lettersに論文が採択された。透過電力と消光比の実験値は、0.3 THzで83.8%と-53.4 dB、0.5 THzで89.9%と-59.3 dB、1.0 THzで84.4%と-53.2 dB、1.5 THzで80.4%と-49.4 dB、2.0 THzで77.9%と-51.6 dB、2.3 THzで68.4%と-39.1 dBである。さらに、本偏光子GoIS(R)(茨城大学帰属にて商標出願)に関する知的財産の権利強化と商品化の際に必要となるデータ収集に特化した別の研究プロジェクトへも派生した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カットスルー金属スリットによるテラヘルツ波帯偏光子のモードマッチング法による最適化設計ツールをフィルム構造、中空構造の両方で完備している。商用の電磁界シミュレータでは解析に長時間を要するが、完備した設計ツールは数秒以内と非常に高速に解析が可能である。この設計ツールの完備より、本テラヘルツ波帯偏光子のように繰り返し補正の伴うテラヘルツコンポーネントの精密な設計が可能となる。さらに作製ノウハウについても構築をしている。研究実績の概要の記載の通り、順調に進展し、解析、設計、作製、実験のノウハウも順調に蓄積できている。さらに2016年1月にOptics Lettersに中空構造のカットスルー金属スリットによるテラヘルツ波帯偏光子の論文が採択された。テラヘルツメタマテリアルとテラヘルツコンポーネントに関する一連の研究内容を2016年5月に国際会議の招待講演で発表する。
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Strategy for Future Research Activity |
-60 dBの消光比を測定可能な実験系の構築を進める。テラヘルツパルスのスポット径とコンフォーカル長が最適な光学系の設計し、構築する。
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Causes of Carryover |
当初の計画以上に進展が予想されたため、前倒し請求を行ったことによるものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光学素子の購入とテラヘルツ偏光子の作製に使用する。
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