2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of multielectron dynamics in intense laser fields
Project/Area Number |
26600111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 顕一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70344025)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子エレクトロニクス / アト秒科学 / 強光子場科学 / 高強度場物理 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
高強度のフェムト秒(10のマイナス15乗秒)レーザーは、新しい物性計測や制御・熱影響のない加工のツールとして、重要性が増している。特に、高強度レーザーパルスを、気体に照射することで引き起こすことができる高次高調波発生(標的媒質のイオン化エネルギーを超える高次の倍波が発生する現象)を用いてアト秒(10のマイナス18乗秒)の時間幅を持った極端紫外領域の超短光パルスを発生できる。また、このようにして得られるアト秒レーザーパルスによってイオン化された分子中においては、アト秒~フェムト秒時間スケールの、電荷マイグレーションが観測され、最近、注目されている。本研究では、強レーザーパルスやアト秒パルスに照射された分子の電子の挙動を、多電子ダイナミクスに注目し、ボーム経路解析を含むシミュレーションによって研究している。平成28年度は、前年度までに数値計算コードとして実装した時間依存ハートリーフォック法を使って、アト秒パルスで照射された分子中における、電荷マイグレーションのシミュレーションを行った。LiH分子、水分子等において、電荷マイグレーションの第一原理シミュレーションに、世界で初めて成功した。また、シミュレーション結果を、中性分子、1価の分子、2価の分子…等、実験と比較する上で、便利なデータセットに分類して出力することにも成功した。シミュレーション結果からは、分子軸とアト秒パルス偏光がはす角度によって、また、分子の価数によって、マイグレーションの様子が異なることを、はっきりと見出すことができた。
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