2014 Fiscal Year Research-status Report
中赤外プラズモン増強場を用いた新規非線形光学の開拓
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26600113
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
芦原 聡 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (10302621)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 量子エレクトロニクス / プラズモン / 強光場現象 / 超短パルスレーザー / 赤外分光 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
【概要】局在型プラズモンの共鳴励起により中赤外超短パルス増強場を生成し、この特徴的な場を生かした新規非線形光学現象の発現を目指した。その結果、中赤外超短パルス増強場を利用した金の光電界電子放出に成功し、その諸特性を理論・実験両面から明らかにした。
【詳細】電磁場理論解析および透過スペクトル測定により、中赤外域に共鳴する金ナノロッドが数十フェムト秒の応答速度と高い電場増強特性（強度にして千倍以上）をもつことを確認した。電子線リソグラフィーとリフトオフ法により、そのような金ナノロッドを数ミクロン間隔で二次元的に敷き詰めた金ナノロッドアレイを作成した。その金ナノロッドアレイに中赤外フェムト秒パルスを照射する際ロッド先端に生成された増強電場を利用して、金の伝導電子のトンネルイオン化を発現させた。電子放出量の励起光波長依存性を測定し、理論計算と比較することにより、電子放出過程が共鳴増強された増強電場に支配されていることを確認した。また、励起光強度依存性および放出電子の運動量スペクトルを計測することにより、局所的な電場増強度（強度にして千倍以上）を評価した。
【意義】通常の光電効果と異なり、光電界電子放出メカニズムによると、電場振動の半周期以下の時間で電子が放出されるため、本成果は潜在的に超短パルス電子源やその小型加速器の原理につながると期待できる。また、本成果は、局所的な電場増強度を非侵襲に計測する手法として、プラズモニクス、近接場光学の学術分野に貢献するといえる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年間の研究の目的として以下の二つを策定した。
A.中赤外増強場を利用した金属電子のトンネルイオン化（平成２６年度）
B.中赤外増強場を利用した分子振動の非線形応答の増強（平成２７年度）
このうち、前者Aを達成しオリジナルかつ重要な成果を得た。その成果は原著論文として英文ジャーナルに投稿中である。また、後者Bの目的へ向けた理論解析および実験も進めており、「分子振動の非線形応答の増強」の基盤となる「局在型表面プラズモンと分子振動モードとの結合（ファノ共鳴）」の観測に成功している。以上の理由から、本計画研究がおおむね順調に進展しているといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
H２７年度は後者の目的である中赤外増強場による非線形振動分光の高感度化に注力する。この目的を達成する上で重要なのは、局所的な増強度とその空間密度である。局所的な増強度が高いだけでは不十分であり、非線形振動分光信号のビーム範囲での面積平均あるいは体積平均を大きくする必要がある。そこで、中赤外増強場を空間的に高密度に生成するような金属ナノ構造を理論解析を通して見出す。特に、局在型表面プラズモン同士の干渉相互作用とナノギャップにおける電場増強効果を利用して最適な金属ナノ構造を設計し作製する。
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