2014 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ帯電液滴プラントアクティベーターによる植物免疫制御の挑戦
Project/Area Number |
26600124
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 俊郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30312599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英樹 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20197164)
加藤 俊顕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20502082)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大気圧放電プラズマ / 帯電液滴 / 植物免疫 / 活性酸素種 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,従来の農薬に代わる病害防除法として,植物のもつ防御応答システムをプラズマで活性化する「プラズマ帯電液滴プラントアクティベーター(免疫活性化剤)」による植物免疫の制御を目的としている. 初年度は,大気圧放電プラズマで発生させた活性酸素種を帯電液滴内に取り込み,その帯電液滴を植物細胞に照射できる装置を作製した.また,帯電液滴が植物細胞に照射された際に,植物免疫のシグナル伝達に活性酸素種が作用することによって,植物免疫を活性化しているかどうかについて調べた. 1. ガラス管内部に細管状電極を挿入し,高周波電力を印加することで大気圧空気プラズマを発生でき,さらに細管状電極から液滴(水)を導入することで帯電液滴を生成し,プラズマ中で生成された活性酸素種を帯電液滴中に取り込み,照射できる装置を作製した. 2. 帯電液滴含有プラズマをテレフタル酸溶液に照射することで,活性酸素種の一つである水酸基ラジカルの生成量を測定した.その結果,水導入量および空気流量を変化させることで,帯電液滴を介して照射される水酸基ラジカルの量を制御できることを明らかにした. 3. 帯電液滴含有プラズマを照射する対象植物としてイネを用いて,帯電液滴含有プラズマ中の水酸基ラジカルの効果を調べるため,まずはイネに感染している馬鹿苗病菌の殺菌効果を調べた.その結果,水導入量および空気導入量の増加により,高い殺菌効果が得られることが明らかになった. 4. 帯電液滴含有プラズマ照射によるイネに対する免疫活性効果を調べるため,帯電液滴含有プラズマを照射したイネ葉鞘からRNA抽出を行ない,抵抗性誘導を調べた.その結果,帯電液滴含有プラズマを照射した部分において抵抗性の発現を示唆する結果が得られた.これは帯電液滴に含まれている活性酸素種が植物免疫を活性化させたためであると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
液滴の導入に関して,プラズマ生成電極の細管から水を導入することで,簡便にプラズマ中に液滴を導入することに成功し,さらに水導入量によって液滴に含まれる活性酸素種の一つである水酸基ラジカルの生成量を制御できることを明らかにしており,当初の計画以上に進展しているといえる. また,帯電液滴含有プラズマをイネに照射することで,抵抗性の発現を示唆する結果が得られており,当初は2年目に行う予定であった植物免疫の活性化に関する実験を前倒しで行っており,当初の計画以上に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
イネについては抵抗性の発現を示唆する結果が得られているが,イネ以外の植物にも対象を拡大し,生成した帯電液滴含有プラズマを植物に照射することで,細胞表面に強電界が生じ,植物免疫の活性化に対して効果があるかどうかを調べる. 病原体に感染していないイネ以外の植物に活性酸素種を取り込んだ帯電液滴の照射を行い,病原体に対する免疫が活性化されているかどうかについて調べる.具体的には,病原体に対する抵抗性を発現した際に細胞が蛍光を示すように改良された植物を用いて,帯電液滴含有プラズマを照射することで植物免疫が活性化される最適条件を見出す. 病原体に対して抵抗性を発現した植物に,病原体を接種することによって抵抗性評価を行う.照射する帯電液滴のパラメータ,特に活性酸素種の導入量と液滴の帯電量および極性(すなわち細胞表面で形成される電界の強度と方向)によって,植物免疫の活性化に差異が生じるかどうかについて注目する.その際に,植物自体の成長に影響を与えていないかどうかについても注意する. レポーター植物の蛍光発現の結果から,帯電液滴含有プラズマ照射によってシグナル伝達が活性化され,病原体に対する抵抗性が発現しているかどうかが明らかになっているので,さらにどの段階でのシグナル伝達にプラズマが作用しているかを明らかにする.共通性の高いシグナル伝達として,エチレンシグナル系,ジャスモン酸シグナル系,サリチル酸シグナル系があることが知られているが,それぞれのシグナル系遺伝子のプロモーターを用いることで,帯電液滴含有プラズマ照射により細胞内に導入された活性酸素種がどのシグナル伝達を活性化しているかを明らかにする.その結果,プラズマ照射がどの経路で病原体に対する抵抗性を発現しているかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の請求額とあわせ,平成27年度の研究遂行に使用する予定である.
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[Presentation] Cell Membrane Permeabilization inside Irraidation Region2015
Author(s)
S. Sasaki, Y. Hokari, M. Kanzaki and T. Kaneko
Organizer
The Joint Symposium of 9th International Symposium on Medical, Bio- and Nano-Electronics, and 6th International Workshop on Nanostructures & Nanoelectronics
Place of Presentation
Tohoku University (Sendai, Japan)
Year and Date
2015-03-02 – 2015-03-02
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[Presentation] 放電プラズマの医学応用2014
Author(s)
金子俊郎,佐々木渉太,神崎展
Organizer
東北大学医学研究科セミナー
Place of Presentation
東北大学(宮城県,仙台市)
Year and Date
2014-06-25 – 2014-06-25
Invited
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