2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26600125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神原 淳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80359661)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メゾプラズマ / エピタキシャル成長 / ナノクラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
メゾプラズマ環境下でのSiC堆積が可能なCVDシステムを立ち上げ,メタンガスとトリクロロシランを原料に成膜を行った。種々のC/Si比並びにプロセス圧力を主要変数として堆積を行った結果,Siの高速エピタキシャル成膜が達成される6Torrでは多結晶組織であるが,15Torrでは鏡面を呈する膜が堆積され,一方で3Torrの減圧条件では,ファセットを強く呈する多結晶組織が確認された。XRDおよびラマン分光による相同定の結果から,比較的圧力が高い場合にはC/Si比には大きく依存せず結晶性或いはアモルファスSiが強く顕れSiCは局所的に存在するが,減圧条件ではSiCが主相となる相変化が確認された。一方,堆積速度は入力の増加並びに圧力の低下と共に増加し,既報のCVDによるSiCよりも高速堆積が可能であり,特に投入材料に対する成膜材料修理が極めて高い事が判明した。以上の存在相並びに組織変化過程とプラズマ条件との相関を踏まえて,メゾプラズマ環境下での基本的な共凝縮成膜パスを検討した。 平行して,分子動力学の観点から,メゾプラズマCVDにおける共凝縮に伴うクラスター形成に関して検討した。調和融液が存在しないSi-C組成においても,Si及びCが原子状にまで分解する温度からの急冷過程で液体様の構造を有するSi-Cクラスター形成の可能性が確認された。特に,Si-Cの2元系の特徴として,高温でも安定なC原子間の結合が強く表れる可能性が示唆された。 また,合金系における高速堆積の特徴を理解するための比較基準として,Si系における特に減圧環境での堆積を行った。その結果,プラズマフレームと原子状水素に起因した堆積効率の増加が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の研究計画において,初年度では,実験的にメゾプラズマ環境下でのSiC成膜を行い,成膜前駆体の観点から実験変数制御範囲を明らかにすること,並びに,数値的に2元系液体様ナノクラスターの可能性について検討することを予定した。前者に対しては,メゾプラズマCVDによるSiC成膜を可能とするシステムを完備し実際に成膜を行い,膜組織変化に対するプラズマ変数の相関を検討した。後者に対しては,高速成膜の鍵となるクラスタ-成膜前駆体形成の可能性を,Si-C系においても分子動力学により確認した。以上の通り,研究は予定通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で明らかにした基本的な多元系の共凝縮パスの理解に基づいて,組織形成過程に大きく影響を与えうる実験変数に注目しながら成膜を行う。特に,成膜前駆体形成に直接影響を与えうる熱的境界層の変化に焦点を当てて,高速成膜とエピタキシャルに向けた組織制御を目指す。また,分子動力学を利用して,液体様Si-C合金系クラスターとSiC単結晶基板との相互作用を明らかにする。特に,Siクラスター支援エピタキシャル成長で確認された瞬間的自発的原子整合挙動が合金系においても可能であるか等,合金系における組織形成過程におけるクラスターダイナミクスについて検討する。
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