2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26600130
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
熊谷 慎也 豊田工業大学, 工学部, 准教授 (70333888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 実 豊田工業大学, 工学部, 教授 (70282100)
JEONG JongHyeon 豊田工業大学, 工学部, 研究員 (90728114)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プラズマ医療 / 低温大気圧プラズマ / 細胞 / MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
患者に低温大気圧プラズマを照射することで、皮膚疾患などで症状の改善を目的とした研究が報告されている。この「プラズマ医療」の本質は、プラズマ中の活性種と被照射部表面との物理・化学反応にある。従来のプラズマ医療は皮膚疾患・外傷治療を目的とした、広い領域への処置であった。プラズマ医療を微視的に考えると、プラズマと組織の反応を制御するために、プラズマと細胞1個への反応の理解が必要である。本研究ではMEMS技術を駆使し、1細胞よりも小さな領域へのプラズマ照射を実現して細胞活性状態や分化を制御し、細胞1個のレベルからのテーラーメード医療への道を切り拓くことを目的としている。
本年度は、液中に保持されている細胞にプラズマを照射するためのデバイス「プラズマ オン チップ」の試作を行った。MEMS技術を用いて、シリコン基板に小さなウェル構造を作製する。そのウェルの底部にスルーホールを設け、その背面に低温大気圧プラズマを発生させるための微小電極対を作製した。ウェルに細胞を含む液体を注ぐと、液体は表面張力によってウェルの中に保持される。ウェル構造の背面に作製した電極部でプラズマを発生させると、生成した反応活性種がスルーホールそして気液界面を通って、細胞へ到達する仕組みになっている。
バイオ試料として、近年エネルギー源として着目されているChlorellaを用いた。Chlorellaは培養が比較的容易であり、扱いやすい。プラズマ オン チップのウェル部にChlorellaを含む溶液を注ぎ、ウェル背面の電極部にHeガスを吹き付け、電極間に高電圧を印加してプラズマを発生させた。このプラズマ照射処理の有無と、Chlorellaが出す蛍光強度との相関を調べたところ、プラズマ照射によってChlorellaからの蛍光強度が減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマ オン チップ デバイスを試作し、発光分光法を用いてプラズマ中に生成した反応活性種を調べた。印加電圧および供給するHeガスの流量を変えて、反応活性種の生成量が多くなる条件を見出した。
クロレラを用いたバイオ試料へのプラズマ照射試験でも、プラズマ照射の有無による違いが見出されている。
これまでに国際会議ISPlasma2015、国内会議 2015年春季応用物理学会で成果発表をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度はデバイスの改良とバイオ試料への照射試験を推進する。
デバイスの改良としては、特に耐久性の向上を進める。
バイオ試料への照射試験として、Chlorellaに加えて、大腸菌への照射も試みる予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品の中に、消費スピードが緩やかに済んだものがあったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として物品費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)