2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26600131
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田井野 徹 埼玉大学, 情報メディア基盤センター, 准教授 (40359592)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 放射線 / 高性能フォトンセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代のフォトン検出器として知られる超伝導トンネル接合(以下、STJ)は、その特徴である高分解能、広帯域、高速応答を利用して様々な先端分析装置への応用が期待されている。しかしながらその実用化には大きく、STJのフォトン検出動作時に必要な印加磁場用コイルのサイズ、フォトン検出器自身のノイズ、の2点の課題を克服する必要がある。そこで本研究では、この2つの課題を解決する手法として、磁場印加用コイル埋め込み型STJを提案している。 平成26年度に見いだした、埋め込みコイル用加工穴の作製条件の最適化に基づいて、加工溝とその溝に埋め込んだコイルを作製した後、層間絶縁膜を介してSTJの作製を行った。当初、STJの作製には成功したものの、その特性が悪く、コイル形成後の平坦性に問題があることが分かった。そこで再度加工穴やそこに埋め込むコイルの積層、その後平坦化処理を行い、より平坦性に優れた作製方法を見いだした。その条件に基づいてコイルを形成し、その上にSTJを作製した。コイル集積型STJの液体ヘリウム温度における電気的特性は、平坦な基板上に作製したSTJと同じ良好な結果であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、磁場印加用コイルを形成した後、その上にSTJを作製し、電気的特性の評価を行った。当初コイル上に作製したSTJの電気的特性は悪かったものの、コイル形成後の平坦化処理をさらに最適化することで、STJの電気的特性の改善に成功した。またポリイミドフィルムについては、極低温化での剥離が著しく見られたため、ポリイミドフィルムと同様に検出器自身のノイズ低減に効果を発揮する材料の選定を行い、今後それを利用していく。以上より、実施計画通りほぼ進展していることから、「おおおむね順調に進展している」、と選択した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、検出器自身のノイズ低減に効果を発揮する材料として選択したAl2O3を用いたコイル集積型STJの作製とその特性評価、ならびにフォトン照射試験時におけるコイル動作とノイズ低減観測を行う。
|
Causes of Carryover |
平成27年度に開催されたISS2015への参加を予定していたが、学会開催時期と講義が重なって参加できなくなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究実績として、良質なSTJの作製にはコイル平坦化が必要不可欠であることが分かった。その平坦化手法で使用する研磨パッド、スラリーなどの購入費用として、平成27年度の未使用額分を充てたいと思っています。
|
Research Products
(3 results)