2014 Fiscal Year Research-status Report
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26600134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
弘中 陽一郎 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 研究員 (20293061)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高圧回収実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的では、媒質中での圧力上昇と閉じ込め効果を最大限に活用することにある。閉じ込め容器としてのガラス媒体の選定、レーザーのスペクトルに伴うチャープ計算、および作成を行った。さらに、閉じ込められた試料の計測技術として光干渉計を用意し、その動作を確認した。もっとも作成に困難をきたしたのが、試料の作成である。当初、ガラス自体を回収試料の対象とすることも含めていたが、ガラス内部に閉じ込めた場合の作用する領域が一か所にまとめることが難しく、媒質中でレーザーのエネルギーを一気に放出するためにも、数百オングストロームのアルミの層を作成し、その内部にフラーレンの膜を数十ミクロン積層することで実験を設計した。フラーレンは昇華性の材料であり、このフラーレン層を作成するのにかなりの困難を要した。結果的に50×50mmのガラス基板上に、アルミ258nm、フラーレン層を3000nm積層させ、同様の基盤を2枚作成し、フラーレン側から合わせることで、Glass-Al-C60-Al-Glassの積層試料を作成した。さらに、レーザー入射側のガラス基板前方には、ガラスの破壊を防止するための100×100×100mmのガラス媒質を設置し、レーザーのチャープを計算しながら照射用のターゲットを作成した。圧力の開放時に圧力の閉じ込め効果を狙ったガラスが割れてしまわないように、厚いガラスの保持用のステージや、後ろ面のサポート治具などを含めて、現在作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に用いようとしているレーザーのチャンバー構成から、若干ステージなどの設計が遅れていること、レーザーのコンプレッサーの性能評価がまだ行えていないが、試料作成に関しては比較的予定通りに行うことができたと考えている。当初はこの試料作成が最も問題になると考えていたため、おおむね順調に進展している。試料作成に関しては大面積で、比較的厚い膜圧を要するため、温度を管理しながら蒸着を行ったが、一様な蒸着がなかなかできなかった。当初の計画では、媒質であるガラスそのものの回収評価を考えていたが、誘電破壊の領域が長くなってしまい、必要な圧力を保持するのに不適切であると考え、当初の計画では2年目に行う予定のC60膜の作成を実施した。C60は昇華性の物質であり、この物質でミクロンオーダーの膜を積層するために、やや時間を要した。最終的には蒸着が可能となり、試作品の作成に成功した。もともとは厚いガラスで閉じ込められるような設計をしていたが、蒸着作業を行う中で、このような大きなガラスに蒸着作業を行うことが困難であることが分かり、設計を一部変更しながら蒸着作業を進めた。最終的に当初の計画通りになるように、ガラスブロックをくみ上げて、試料を作成することができた。 ただし、試料自体が大きくなったため、既存のシステムに設置するためのステージや試料のホールドの方法、コントロールを行う方法を新たに考え直す方法があるため、現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回作成した資料により、当初の計画にある試料を簡単に作成する方法論が確立されたため、レーザーチャンバー内での設置方法や、チャープパルスのコントロールができるようになれば、繰り返し実験が可能となる。既存の装置にこのターゲットを設置するには、ターゲットホルダーの設計が必要となり、当初の計画と異なり、試料がブロックのくみ上げ式になったことから、設計を一部変更するために治具の作成が必要である。これらが完成すれば、レーザー照射自体はすぐに行えるため、回収する試料の構造的評価・物性評価・機械的特性などを中心に調べる予定である。レーザーの媒質中での伝搬に関する計算コードもすでに作成しており、干渉計を用いたその場観測などを通した計測も行っていく予定である。作成した試料は比較的高価であり、作成にも時間がかかるため、レーザーとの相互作用のためには、事前にガラス基板などによるテストが必要であり、その場観察を行いながら最適条件を探す必要がある。このため、光学レンズやステージなどの最適化も含めた予備実験用の光学系の構築が必要になる。予備実験に必要な計測装置はすべてそろっている。回収試料は非常に小さなものになる可能性もあり、X線回折、ラマン散乱、ナノインデンテーション法など、多角的に行う予定である。
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Research Products
(1 results)