2014 Fiscal Year Research-status Report
陰極近傍の鏡像効果による電子ビームのエミッタンス減少メカニズムの解明
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26600141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 開 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (80303907)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子銃 / エミッタンス / 空間電荷効果 / 鏡像効果 / 陰極 / 自己線形化 / 電子軌道解析 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の3項目を実施した.なお、(1)などの番号は、提出済み交付申請書に記載した研究実施計画の項目番号である。 (1) 研究代表者の開発したシミュレーションコード(KUAD2コード)を用い、陰極面から放出された電子ビームが一様電界によって軸方向に加速される過程を計算し、印加電界強度と初期ビーム電流密度を変化させてエミッタンス増減過程の変化を調べ、エミッタンス極小値及び極小となる点の陰極からの距離のビーム生成条件への依存性を明らかにした。 (3) 汎用コードのうちで予備研究の結果有望と考えられたGPTコードを導入し、計算粒子数などへの計算結果の依存性を調べ、KUAD2コードの計算結果と比較した。その結果、計算精度向上(粒子数の増加など)に伴って、エミッタンスが減少する効果が現出し、さらに精度を向上させるとエミッタンスの極小値が小さくなっていく傾向が両コードで同様に見られた。すなわち、KUAD2コードで初めて見られた本現象を、定式化・離散化ともに全く異なるGPTコードでも再現することができた。一方、汎用性の高いGPTコードでこの現象を再現するだけの精度を得るためには、専用コードであるKUAD2と比べて相当に多くのメモリと計算時間が必要であることも分かった。このことが原因で、我々の計算機環境においては、GPTコードでエミッタンス極小値を定量的に再現することは困難であることも分かった。 (4) 計画(1)のパラメータサーベイで明らかにした依存性から特徴的なビーム生成条件を抽出して、それらの条件下での径方向位相平面分布、及び、それに起因する電磁界分布の非線形性の変化の様子を調べ、エミッタンス極小点の位置がパラメータによって変化するメカニズムを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた結果から実施項目の優先順位を見直し、平成27度に予定していた研究項目を前倒しして実施した。このため平成26年度計画の一部は次年度に持ち越したが、全体として計画に遅れはない。 研究計画は順調に進行したが、学会発表については平成26年度は当初計画通りには実施できなかった。これは、平成25年度に投稿していた、本計画の着想に繋がった成果に関する論文の審査に予想以上の時間(約1年半)を要し、学会発表を控えざるを得なかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り一部項目について実施する順番を変更したが、このことを除き当初計画通りに研究を進める。
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Causes of Carryover |
本計画の着想に繋がった成果をH25年度に学術雑誌に投稿していた。この論文の審査に予想以上の時間(約1年半)を要し、本計画で予定していたH26年度の学会発表を控えざるを得なかったために、H26年度の旅費の支出が計画より下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H26年度内に本計画で得られた成果は、上記の通り発表を控えざるを得なかったので、今年度発表する。このための旅費として使用する。
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