2014 Fiscal Year Research-status Report
軌道角運動量可変マイクロX線渦ビームの形成と磁気イメージング・吸収分光への応用
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26600143
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 幸生 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00415217)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
大型放射光施設SPring-8の理化学研究所専用のビームラインBL29XULにおいて、X線渦ビーム形成に関する基礎実験を行った。Norcada社より購入した1マイクロメートル厚さのシリコン単結晶薄膜を渦ビーム発生のための光学素子として用いた。シリコン単結晶薄膜を多軸回折計に配置し、全反射集光鏡によって1マイクロメートルに集束したコヒーレントX線を照射した。シリコン薄膜を光軸垂直方向に二次元的にステップ走査しながら、走査各点で(220)面からのコヒーレントブラッグ回折強度パターンをX線CCD検出器にて測定した。転位をまたぐようにコヒーレントX線を照射した際は、破壊的な干渉により、ブラッグピークは二つに分裂し、特徴的なスペックルパターンが観測された。また、転位芯にコヒーレントX線が照射された際は、ブラックピークは渦ビームの特徴であるドーナツ形状を有していた。コヒーレント回折強度パターンに位相回復計算を実行することで、シリコン単結晶薄膜の転位歪み場を再構成した。そして、転位芯にX線が照射された際、検出器面上での回折波複素振幅を波動光学計算により導出した結果、X線渦ビームの特徴である中心強度ゼロのドーナツ状の強度分布とらせん状の位相分布が得られた。興味深いことに位相の回転方向は、転位芯周囲の位相分布に対応していた。すなわち、シリコン単結晶薄膜中の転位芯を選択することで、X軌道角運動量の方向を制御可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあるX線渦ビーム形成のための基礎実験を行い、X線渦ビームの観測に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ブラッグ条件や入射X線エネルギーを変更することで、X線渦ビームの軌道角運動量の大きさや波長が変更可能か波動光学計算に用いて検討する。また、X線渦ビームの利用可能性について調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で、必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初の予定通りの計画を進めていく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究で必要な消耗品費や学会等の国内旅費として使用する。
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