2015 Fiscal Year Annual Research Report
ホットウォール金属イオン照射装置による原子内包フラーレンの量産技術
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26600144
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
浅地 豊久 富山高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (70574565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フラーレン / プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
金属内包フラーレンの簡易的,かつ効率的な合成の実現を目指して,ホットウォール型合成装置の設計・製作を行った.高温炉内に石英管またはアルミナ管を設置し,ロータリポンプを用いて真空排気を行う.プラズマ生成用のアルゴンガス等を導入し,13.56 MHzの高周波電源を用いて平行平板型プラズマを生成する. アルゴンおよび窒素ガスでのプラズマ生成を確認したあと,金属の中では比較的蒸気圧の高い亜鉛を用いて金属プラズマ生成実験を行った.石英管内に設置したタングステンボード上に亜鉛の線材を置き,高温炉を500℃まで10分間で加熱した.300 ℃まで加熱したときにアルゴン10 sccmを導入し,プラズマを生成した.このときの高周波電力は20 Wとした.アルゴンガスを供給しているときは14 Paを示しており,300℃付近では赤みがかった色を示している.400℃程度まで上昇すると蒸発温度となり発光色は青く変化した.500℃に達したあとアルゴンの供給を止めても放電は持続し,真空計は4 Paを示した. 初期実験として,これまで合成例が報告されている窒素内包フラーレンの合成を試みた.厚さ約1μmのフラーレン薄膜を蒸着したシリコン基板をステージ上に設置し,そのステージに100 Vまでの電圧を印加することで窒素イオンを照射した.そのフラーレン薄膜を時間飛行型質量分析器で分析した結果,28(または14)ごとにピークが現れ,窒素が結合していることが分かった.次に,亜鉛プラズマを生成し,フラーレン基板にイオンを照射した.この結果については10条件で照射したにもかかわらず亜鉛内包や化合物の可能性のあるピークは見られなかった.真空環境の悪い条件でイオンビームを照射した場合,不純物が原因で所望の結果が得られないことが分かり,装置の高真空対応等が必要であることが明らかになった.
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