2014 Fiscal Year Research-status Report
X線自由電子レーザ絶対強度計測のためのマイクロカロリメータ
Project/Area Number |
26600149
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
齋藤 則生 独立行政法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 副研究部門長 (80344191)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線自由電子レーザ / カロリメータ / パルスエネルギー / 光強度標準 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、X線自由電子レーザのパルスエネルギーを測定できるマイクロカロリメータ本体を設計・製作を行い、現在所有している極低温カロリメータ用の制御装置を用いて動作テストを行った。 現在用いている極低温カロリメータ本体の大きさは、およそ、直径10cm×長さ20cm程度の円筒形大きさであるのに対して、製作したマイクロカロリメータ本体サイズは、直径2.2cm×長さ2.1cmである。体積にして、およそ200分の1の大きさになった。マイクロ化したため、ICF70のフランジに取り付けることができるようになり、フォトダイオードのようにどこにでも取り付けうる使い勝手の良い検出器となった。 マイクロカロリメータ本体の構造は、小さくても、極低温カロリメータと同様に受光部と2重のシールド部で構成されている。受光部には、サーミスタ温度センサと温度制御用ヒータを3セット接着させている。シールド部には、サーミスタ温度センサと温度制御用ヒータをそれぞれ1セットを接着させた。これらのサーミスタ温度センサと温度制御用ヒータによって、マイクロカロリメータの温度制御と熱量測定を行う。 製作したマイクロカロリメータの動作確認を行うため、既設の真空容器内にマイクロカロリメータを取り付け、電気ヒータによるオフラインテストを行い、問題なく動作することを確認した。受光部が小さくなり軽くなった結果、感度が数十倍に向上した。一方、感度が良くなったために、外部の温度変化の影響を受けやすくなり、その方策をとる必要があることが分かった。 今後は、シンクロトロン光を用いて、動作テストをするとともに、外部の温度変化の影響を取り除くことに取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画は、X線自由電子レーザのパルスエネルギーを測定するマイクロカロリメータの受光部を開発、製作を行うとともに、動作テストを行うことであった。実際に、マイクロカロリメータの受光部を製作し、動作テストを行ったので、計画通りに進んだ。 マイクロカロリメータは予定通り、受光部と2重のシールド部の3重構造とし、ICF70のフランジに挿入できる大きさにすることを実現した。また、動作テストでは、0.1μWの熱量でも測定が可能となる感度を得ることができた。 以上のことより、全体として概ねに順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
感度が良くなったために、外部の温度変化の影響を受けやすくなり、その方策をとる。具体的には、マイクロカロリメータと光源の間に、温度コントロールが可能なアパーチャーを設置し、外部からの温度変化が受光部に入らないように工夫する。 次に、シンクロトロン放射光のX線を用いて、極低温放射計と比較を行い、性能評価を行う。 また、パルス光の測定が可能かどうか、パルス電源と交流ブリッジ回路・ロックインアンプを用いて、パルス特性を調べる。
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Causes of Carryover |
マイクロカロリメータの動作確認のための測定システムを既存の装置を利用したため、予算を節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度は、次年度使用額と合わせて、パルス光測定システムを製作する。
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