2015 Fiscal Year Annual Research Report
X線自由電子レーザ絶対強度計測のためのマイクロカロリメータ
Project/Area Number |
26600149
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
齋藤 則生 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 副研究部門長 (80344191)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | X線自由電子レーザ / カロリメータ / パルスエネルギー / 光強度標準 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、計画通り、昨年度開発したマイクロカロリメータの性能評価を中心に行った。性能評価は、X線領域のシンクロトロン放射光を使って行った。具体的には、3keV~5keVの放射光の絶対強度をマイクロカロリメータで測定し、国家標準器である極低温放射計による絶対強度と比較し、性能評価を行った。 放射光ビームラインに設置した条件下でのマイクロカロリメータのバラツキは、極低温放射計と同等の±1μW程度であることを確認した。このバラツキは、X線自由電子レーザの10分の1程度の強度(約100μW)である放射光の絶対強度を高精度に測定できる性能である。マイクロカロリメータによる放射光強度の絶対値は、極低温放射計と比べて約5%以内で一致することを確認した。しかし、この比較を3keVから5keVの範囲の様々なエネルギーの放射光に対して行った結果、マイクロカロリメータの測定値が極低温放射計と比べて一律に約3%高いことが明らかとなった。この原因として、小型化に伴う受光部内部の温度分布の影響が考えられ、受光部内部の温度センサとヒータの配置を見直し、改造を行った。 受光部のセンサは温度分布の影響が少ない場所に再配置し、制御・加熱用ヒータは、光強度測定の状態をより忠実に模擬できる配置へと変更した。以上の改造を行い、平成27年度後半にシンクロトロン放射光での再評価実験を実施した。その結果、マイクロカロリメータの測定値が約3%高く、改善が見られなかった。しかし、3%高く測定される結果は再現しているため、この効果を補正項および誤差として考慮することによってマイクロカロリメータを絶対測定器として使用できると考えられる。また、X線自由電子レーザの強度には10%程度の強度変動があることから、このマイクロカロリメータはX線自由電子レーザの絶対強度測定器として十分な精度があると考えられる。
|
Research Products
(8 results)