2015 Fiscal Year Research-status Report
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26600155
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
久保田 光一 中央大学, 理工学部, 教授 (90178046)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自動微分 / グラフの数値処理 / 高階微分 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は平成26年度に続き (1) 現在の実装方式の性能評価, (2) アルゴリズムの改良, (3) GPU を用いたプログラム設計,を行う予定であった. (1)の性能評価については, 2015年7月に本研究費で購入した「静音ワークステーション一式」に含まれるGPUボード「K40」を用いたプログラムとでテストプログラムでの実行時間の比較を行った. 本研究のアルゴリズムで多数回評価される行列乗算を従来機種より1割程度高速に1024x1024行列乗算を行うことができることを確認した. しかし, 大幅な高速化には繋がらず, (3) の並列計算をまず先に実装することとした. (2) アルゴリズムの改良については, 中国人の剰余定理を用いるアルゴリズムを設計中であるが, 単純な方式に比べメリットがあまり無く, さらなる改良を検討中である. (3) については単純な GPU 利用では不十分であり, 100台規模のPCを並列に利用することのメリットを活かすべくプログラムを設計中である. また, 平成27年秋にアルゴリズムの自動微分に関する世界的権威である ドイツ・フンボルト大学の Andreas Griewank 教授が来日し, これを受けて本学での講演を依頼し区分的微分可能関数の自動微分に関する講演会を10月5日に実施した. この際の研究情報交換を下地として, 絶対値演算abs(x)を含むプログラムで定義される関数の x=0 における微分を系統的に実行するための処理系を試作し, テクニカルレポートとしてまとめた. 従来 Clarke Generalized Jacobian の要素を求めるだけに過ぎなかったアルゴリズムを, n次元空間で体積を持つ領域での Clarke Generalized Jacobian を計算するアルゴリズムに改良中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年夏過ぎから,今回の研究の着想に至る原点であるところのアルゴリズムの自動微分に関する新たな技術展開についての研究が必要であるという着想に至り,そちらの方面での研究と当初予定のものとを同時進行する形で研究を実施した.結果としてゼロを引数とする絶対値関数の評価が存在する場合の自動微分の手法,すなわち,区分的に微分可能な関数に対するアルゴリズム自動微分の処理系についての研究を進めることとなったため.
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Strategy for Future Research Activity |
GPUを用いた計算は想定より遅れてしまっている.早期に対応したい. 区分的線形化に関する研究は,アルゴリズムの自動微分技術を本質的に発展させるものであることから,この方面の研究にも注力していく予定である.
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Causes of Carryover |
研究実績に記載したように,今年度は比較的高性能の機器を購入し活用予定であったが,別の観点からのアルゴリズム微分の理論的・実践的検討が必要であるという着想に至ったため,今年度後半はその方面での検討を重ねたため,実質的な経費使用には至らなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は,9月にアルゴリズムの自動微分に関する4年に1度の国際会議が英国で開催されるので,その会議に参加するべく研究内容をまとめた.この参加のための旅費を本研究費から充当する.このアルゴリズムの自動微分は本研究の原点となる技術であるので,本研究に深く関わるものである.
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