2014 Fiscal Year Research-status Report
ムーンシャインに類似する諸現象と頂点作用素代数の研究
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26610004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 厚 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (20238968)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ムーンシャイン / 頂点作用素 / コンウェイ群 / マシュー群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、ムーンシャインに類似する諸現象を頂点作用素超代数に基づいて統一的に理解する枠組みを構築することである。そのため、アンブラル・ムーンシャインの理論全体あるいは一部を頂点作用素代数を利用して記述することを目指す。平成26年度においては、実施計画に基づき、8月25日~27日まで Workshop on Mathieu Moonshine と題する研究会を開催し、関連する研究を行っている国内研究者を招いて議論を行った。それによって、K3曲面やマシュー・ムーンシャインに関する様々な知見が得られた。また、関連する研究を行っている国外研究者を招いて議論を行うなどにより、関連する研究に関する調査を行った。また、3月には、国内研究者を訪ねて、アンブラル・ムーンシャインに関する文献調査を共同で行い、アンブラル・ムーンシャインとコンウェイ・ムーンシャインの関係について知見を得た。その結果、頂点作用素超代数の立場では、コンウェイ・ムーンシャイン加群の研究が基本的であり、それに対して種々の操作を施すことによって、これに関連する種々のムーンシャイン現象を理解するのが自然であるとの感触を得た。一方、次年度の研究に備え、国内の研究者と共同で、大きい対称性を持つ頂点作用素代数に関する跡公式の研究を実施した。これらの研究を総合すると、大きな対称性を持つ頂点作用素代数の構造に関する研究を頂点作用素超代数の場合に一般化することによって、コンウェイ・ムーンシャインに関する新たな知見が得られるのではないかとの感触を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の成果と言う点では、次年度の研究に待つところが多いが、研究の実施に関しては、おおむね当初の計画通りに実施することができた。その結果、当初の見込みからは外れるが、コンウェイ・ムーンシャイン加群の研究が基本的であり、跡公式の研究を通じて新たな知見が得られる感触を得たことが、今後の研究に関するヒントとなると考えられるので、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに述べたとおり、アンブラル・ムーンシャインの研究においては、コンウェイ・ムーンシャイン加群の研究が基本的であるので、その研究により注力する方向で当初計画を変更し、そこに現れる構造とK3曲面などの幾何学的対応物に現れる構造を比較することによって研究を推進するものとする。
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