2014 Fiscal Year Research-status Report
導来ガブリエル位相とその応用:dg代数の完備化、局所化、コシュール双対性の研究
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26610009
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
源 泰幸 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50527885)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 導来二重可換子環 / DG代数 / 圏論的代数幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
導来二重可換子DG環を研究した。二重可換子環は素朴な構成として環論のみならず数学のいたるところに現れる。それの導来版の基本的な性質を明らかにすることを目標とした。 二重可換子環に関する基本的な事実として、次が挙げられる:すなわち、一回の可換子環と3回の可換子環は自然に同型になる。これにより、nが2以上の場合はn回の可換子環とn+2回の可換子環は同型に成るのである。この事実より二重可換子環をとるという操作は閉包作用素の様に思え、完備化の様に見做せるのである。圏論的代数幾何の哲学は代数幾何学的に重要な概念は全て導来圏の言葉で言い表せるであろうと予言していて、その下でKontsevichは完備化は導来二重可換子環であろうと述べていた。実際にはこの事はそれ以前にDwyer-Greenlees-Iyengerによりアファインスキームの場合には示されていたのであった。更に一般のスキームに関してはEfimovが示し。そして私自身は一般の導来二重双対がホモトピー極限で得られる事を示し、導来二重可換子環が完備化であることを見通し良く証明する事に成功した。この事から、導来二重可換子環に対しても上の段落で述べた定理が成り立つ事を期待するのは当然である。しかし、それを証明しようと試み、結果として、反例を見つけてしましまった。上述の二重可換子環の基本的な性質は導来二重可換子環に対しては成り立たないのである。 そこからのこの方面の研究として、良いクラスのDG加群に対しては上述の性質が成り立つであろうと予測して、実際に代理的コンパクトという性質を満たすDG加群の導来可換子環は上述の性質をみたすことを証明した。 また、DG環の普遍局所化について考察し、Thick部分圏の分類問題への応用を見つけた。これも圏論的代数幾何学として意義のある問題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二重可換子環に関する基本的な事実として、次が挙げられる:すなわち、一回の可換子環と3回の可換子環は自然に同型になる。これにより、nが2以上の場合はn回の可換子環とn+2回の可換子環は同型に成るのである。この事実より二重可換子環をとるという操作は閉包作用素の様に思え、完備化の様に見做せるのである。この性質が導来二重可換子環に対して成り立つ事の証明、または反例の構成を本研究計画の第一歩と定めていた。具体的な反例を構成することでこの目標を達成する事が出来た。これは古典論とは異なる新たな現象としての意義がある。更に、反例を見つけた場合の計画は「上の主張が成り立つdg 代数とdg 加群のクラスを探すという方向に問題を変更する。」であったが、これも代理的コンパクトDG加群というクラスに対し上述の性質が成り立つ事を示せたので、一応は達成できたと言える。 DG環の導来局所化の研究については、導来普遍局所化の研究を行った。当初研究を計画していた導来ガブリエル局所化よりも導来普遍局所化の方がより素朴で興味の有るホモロジー代数の基本的な問題とも関係している。更にそれが導来圏のthick部分圏の分類問題に応用できる事に気付いたので、当初の計画を変更して導来普遍局所化の研究を行った。 得られた応用はまだまだ満足いくものでは無いが、あるクラスの完全複体が導来圏の生成対象である事示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
古典的な場合とは異なり一回の導来可換子環と三回の導来可換子環の間の標準的な準同型は何時でも(擬)同型になるとは限らない。そこでこれを満たすDG加群のクラスを特定する事が問題になる。私は代理的コンパクトDG加群がこの性質を持つ事を示した。しかし、この性質を満たす代理的コンパクトではないDG加群の例も容易に得られるので、これは必要十分条件ではないのである。そこでDG加群論的な言葉で必要十分条件を与える事を研究の目標の一つとしたい。 上で述べた様に、導来普遍局所化の研究を開始しているのでこれを継続したい。導来普遍局所化は古典的な場合と同様、定義は簡単であるが計算が難しい。古典的な場合にも行う生成元を加えて可逆化関係式で割る操作をする上に、更に、DG代数特有のcofibrant resolutionを取るという操作もしなければいけないのが難しさの原因である。この二つの問題点の解消に努めたい。可逆化の操作の方に関しては古典的な場合に別の具体的で計算可能な記述が知られているので、それがDG代数にも適用できるか否かを調べるcofibrant resolutionの計算は一般には難しい。しかし、例えばKoszul代数の場合などには具体的に構成出来るので、その様な例で実験をしてみる事と、その様な例を増やすことを目標としたい。この方面で別の方策としては、A-infinity代数を用いる事も考えている。A-infinity代数を用いるとcofibrant resolutionを用いる必要がなくなるのである。ただその反面、可逆化の操作が複雑になる事が予想される。どちらの方が難しいのか現時点では推測できないので、両方とも試してみる事に成るかも知れない。
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Causes of Carryover |
申請時には予想できなかった学内の補助金が得られたのでそれを物品購入に充てたのが大きな理由である。コンピュータの購入を予定していたが、自分の目的にあったものをリサーチする暇をねん出できず結果として購入を見送ったことも物品購入費が使用されなかった要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コンピュータとその周辺機器の購入に充てる。また図書の購入にも充てたい。
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[Presentation] 商体入門2015
Author(s)
源 泰幸
Organizer
第7回代数若手セミナー
Place of Presentation
名古屋大学
Year and Date
2015-03-17 – 2015-03-17
Invited
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