2016 Fiscal Year Research-status Report
量子統計力学による距離空間のモジュライの構成、その特異性と偏極
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26610017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大津 幸男 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (80233170)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラプラシアン / 幾何構造の変形 / グロモフハウスドルフ距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続きランダム離散化の方法と量子統計力学の方法を用いて,コンパクトリーマン多様体及びアレクサンドロフ空間の変形理論について研究した.一昨年度まで変形空間の形式的理論の整備を行い,各空間の測度付きのネット(つまり,有限この点の組)の空間を離散ラプラシアンで対称行列に埋め込み,全ての空間を動かし,ネットの数を無限大にしたものに,統計力学の手法で逆温度に依存するリーマン計量のような構造を定義した.このリーマン計量はネットのランダム極限として定義されるので,そのままでは収束及び,モジュライ空間として意味があるか不明であった.また同じ空間の離散化の違いから異なるネットの列に収束したとき同値関係を導くが,その商空間の性質,接錐の存在と同値類の関係等について検討する必要もあった.特に接錐は無限小変形そのものと考えられるが,上の計量が温度に依存して決まるので温度ごとに意味が異なる.その無限温度の極限の収束も問題になる. 対称性が高い空間の場合,そのような空間全体を上の空間の部分空間として実現すると空間の対称性(例えば等長群)がネットの空間の同値類を著しく小さくするので,モジュライとしては小さくなり,商空間はオービフォールドのように尖っていると予想される.これらの諸問題の考察を行った. 最後に二つの空間を与えたとき,連続な変形の構成が可能か不可能かという問題とグロモフハウスドルフ距離との関係について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連続変形の構成とその幾何学的解釈が以前予測していたより難しい.
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Strategy for Future Research Activity |
上でも述べたが,古典的な対称性の高い多様体のモジュライ空間と我々のモジュライ空間の融合が望ましいので,その方向で研究していきたい.
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Causes of Carryover |
本研究の遂行において,我々の計画していた,連続変形の構成・連続変形出来ない場合の距離の構成・対称性の高い空間のモヂュライ空間と我々のモヂュライ空間との融合において難しい点があり,当初予定していたようには研究計画が進んでいないので,研究機関を一年延長して,進展を期待したい.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出張等を増やすことで対応したい.
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