2014 Fiscal Year Research-status Report
測度・距離空間上の解析学の展開に向けてーCheeger 理論とフラクタル
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26610023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木上 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90202035)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自己相似集合 / tree / 距離空間 / volume doubling property / quaisymmetry |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、自己相似集合上の解析学についてその舞台となる距離空間の幾何学的性質について主に研究を行った。自己相似集合におけるシフト空間からの canonical な写像に対応するものとして、距離空間の tree による partition という枠組みを提唱した。まず partition の一つ一つの cell の大きさに当たる gauge function を導入し、gauge function から距離空間に pseudometric を定義した。その上で、この pseudometric が metric になるための条件、測度が volume doubling property を持つための必要十分条件や二つの距離が quasisymmetry になるための必要十分条件についてこの枠組みのもとで考察を行った。その鍵となる idea として gauge function に対する elliptic 及び locally finite という概念、gauge function に対して距離が adapted で有るという概念、2つの gauge function が互いに gentle であるという概念を定義し、例えば測度が volume doubling property を持つための必要十分条件として測度から決まる gauge function が elliptic かつ locally finite であり距離から決まる gauge function と gentle でありことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べたように、距離空間の幾何学的構造について幾つかの知見を得た。これらの知見は Cheeger 流の解析学において重要である volume doubling property と quasisymmetry の特徴付けであり、今後の距離空間での解析学の展開において重要な役割を果たすことが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究は順調に進行しているので、当初の計画どおり粛々と研究を行う。
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Causes of Carryover |
購入予定であった数値計算用の PC を、他の経費で購入した PC で代用することで、経費の節約が可能であることが判明し、PC 購入経費に相当する額を次年度使用とすることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
距離空間上の解析学の専門家である、フィンランド、ユベスケラ大学 の Meyer 博士を京都に招聘する。さらに、2015年10月に California State University, Fullerton で開催されるアメリカ数学会の研究集会の特別分科会 "Analysis on Metric Spaces" に出席し、距離空間上の解析学の最新の研究動向について調査を行う。
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Research Products
(2 results)